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黒から生まれる世界

精緻な陰影とやわらかな色彩で表現される人物や風景、動物…。切り絵の作者は大分県日出町在住の会社員・中島眞一さん(53)。先天性多発性関節拘縮症で手足が不自由なため、ふだんは車いすで生活している。写真から下絵を描き、口にくわえたアートナイフを操りながら、細かな線をカットしていく。テクニックは自己流。切り絵を始めたのは中学時代。学校の夏祭りで、灯籠を切り絵で作ったのがきっかけだった。

 

「黒と白=光と影で人物や風景を表現するところが切り絵のおもしろさ。作ってみたいモチーフがまだまだたくさんある」と話す。休日は切り絵のモチーフ探しに、自ら車を運転して外出。掃除や洗濯など、身の回りのことも基本的には自分でこなす。作品数が増えるにつれ、切り絵作家として知られるようになった中島さん。ついには国宝・霧島神宮(鹿児島県霧島市)の御朱印のデザインにも起用された。


数ある中島さんの作品にたびたびモチーフとなる人物がいる。母親のミ子(みね)さんだ。5月の大型連休、鹿児島の実家に帰省した中島さん。母の笑顔に触れ、新作に取りかかった。
 

(制作:OBS大分放送/藤澤 真由美)

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