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縮れ蒸し麺とイカゲソが決め手の戸畑ちゃんぽん

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ちゃんぽん発祥の地である「長崎ちゃんぽん」をはじめ、九州各地には「小浜ちゃんぽん」「武雄ちゃんぽん」「日田ちゃんぽん」などのご当地ちゃんぽんがあります。その一つ「戸畑ちゃんぽん」は、北九州市の中でもほぼ戸畑区内でしか食べることができない超ローカルフードで、戸畑で生まれ育った僕にとっては子どもの頃から慣れ親しんできた懐かしい味。戸畑区役所が発行している「戸畑チャンポンMAP」によると現在提供しているのは区内に9店舗ほどだそうですが、その中でも地元民が愛してやまない老舗「福龍」を満を持してご紹介します。

福龍_外観

僕が子どもの頃、まだ路面電車が走っていた時は三六電停近くにありましたが、30年ほど前に九州工業大学正門近くのバス通り沿いに移転したようです。店頭には「戸畑チャンポン」の黄色いノボリがはためき、「百聞は一食にしかず」と記された看板は、老舗らしい風格を感じさせる店構え。朱色のカウンターや真っ赤なテーブル椅子もレトロな趣きですが、古い中華料理店やラーメン屋にありがちな床が油でベタベタするようなことはなく、店内は清潔に保たれています。忙しい時間帯でも常に笑顔を絶やさない接客も含めた居心地の良さが、長く地元民に愛されてきた由縁でしょう。

福龍_メニュー1 福龍_メニュー2

メニューは豚骨、醤油、味噌の各種ラーメン、チャンポン、焼きめしをメインに、それぞれを組み合わせたお得なセットメニューが用意されています。昼時に訪れると、ほとんどのお客さんがセットを注文しているようで、僕も迷わず「チャンポンセット」(1,350円)を頼みました。

福龍_料理1_1

「戸畑ちゃんぽん」が、九州各地のご当地ちゃんぽんと一線を画す最大の特徴が、戸畑区内にある「田中製麺所」で製造される縮れ蒸し麺を使っていること。北九州市が発行する資料によると、かつて日本一の遠洋漁業の基地として栄えた戸畑で、航海時に長期保存が可能な麺として考案されたといわれています。同時に八幡製鐵所(現日本製鉄)の戸畑工場で24時間3交替勤務で働く労働者に向けて、調理時間の短い蒸し麺が重宝されたとも。実は高校時代、部活の先輩の実家が田中製麺所だったこともあり、当時は戸畑区内のラーメン屋や食堂でこの蒸し麺のちゃんぽんをしょっちゅう食べていましたが、それが世間一般では少数派であることを知りませんでした。後になって「リンガーハット」が戸畑に出店した際、初めて本場・長崎ちゃんぽんの太麺を食べて衝撃を受けたのは、僕だけではなかったはずです。

福龍_料理1_2 福龍_料理1_3

前置きが長くなってしまいましたが、「福龍」のちゃんぽんに戻りましょう。毎日長時間かけて炊く豚骨スープはラーメンと共通ですが、具材と一緒に中華鍋で煮込むことで濃厚なコクの中に野菜の甘みが染み出しています。長ネギ、玉ネギ、キャベツ、モヤシ、人参などのたっぷり野菜に、豚肉、天ぷら、カマボコといった具沢山の中でも、特筆すべきはイカゲソが入っていること。これこそ「戸畑ちゃんぽん」に欠かせない名脇役で、戸畑が漁業の町だった頃の名残といえるでしょう。
具材をかき分けて箸で手繰った蒸し麺は、ひと噛みすると"ムニュ"っとした独特の食感。細麺ながらもコシがあり、ツルツルとした喉ごしの良さが感じられます。高校生まで戸畑に住んでいた時には、これが当たり前と思っていましたが、今食べるとかなりオリジナリティのある唯一無二の食べ口で、郷土の名物料理として誇らしい気持ちになるほどです。

福龍_料理2

ご飯と卵と一緒に細かく刻まれた豚肉、玉ネギ、青ネギ、人参、カマボコを炒めた「焼きめし」は、パラパラとしっとりの中間ぐらいの仕上がりで、ちゃんぽんのお供にもベストマッチ。ちょっとした味変を楽しみたければ、裏ワザ的にカレー味にすることもできます。

福龍_店内 福龍_外観2

西鉄小芝バス停から徒歩2分、JR九工大前駅から徒歩7分とアクセスも良く、4台分の駐車場から裏口に直接入店することができます。電車や車を使ってでもわざわざ行く価値がある「戸畑ちゃんぽん」を、ぜひ一度食べてみてください。

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