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草むらに潜む、危険生物マダニ!

外遊びが増えるこれからの季節。
GW中、山や公園などアウトドアに出かけた方も多いのではないでしょうか?
今回は、九州大学伊都キャンパス・天敵昆虫学研究室の上野高敏准教授に外遊びの際、注意すべき危険生物「マダニ」についてお話を伺いました。
春から秋にかけて活動が活発になる「マダニ」。実はその被害は5月が最も多くなっているんです。
ダニはダニでも家の中にいるダニとは全く違う「マダニ」。身近な場所にも生息しており、知らず知らずのうちに「マダニ」が体に乗り移り血を吸うそうです。

最も危険なのは「ウイルスを保有するマダニ」に噛まれることで発症する感染症。最近特に注目されているのが「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」。「SFTS」は2013年に日本で初めて、そして福岡では2015年に初めて感染者が確認され、その後は石川県・福井県・滋賀県・三重県から西側のみでの発症となっています。発熱や下痢・嘔吐、倦怠感、食欲低下といった症状があり、風邪と似ていることから診断が遅れ、重症化してしまうケースも。高齢者の10%~20%が死に至り、ペットの猫は59%、犬は50%と人間よりも死亡率が高くなっているそうです。

そのような危険をもたらす「マダニ」が今増えています。その原因はシカやイノシシなどの野生動物の増加だといわれています。この15年で福岡県における捕獲数は、イノシシが3倍・シカが5倍に増加しており、こうした野生動物が「マダニ」を運んでいるのです。そして「動物がいる場所」と「人が暮らす場所」が近くなることで、私たちは普段の生活の中でマダニに遭遇する機会が増えているというわけなのです。
実際に「マダニ」は身近な場所にも居るのか、糸島市の住宅街そばの公園で探してみることに。数匹単位でつくこともあるという「マダニ」。わずか15分で約1ミリの「マダニ」が採取されました。この小さいサイズでも血を吸い危険なんです。

太陽光が当たっている場所や舗装されている道は比較的安全ですが、日陰の草むらなど舗装されていない道は要注意。「マダニ」は飛んだりジャンプしたりできないため、草に止まって動物などが通るのを待っているんだそう。低い草むらや葉っぱの裏側に潜んでいることもあります。「マダニ」は布にくっつくという習性があり、足の前側に付いてくるので常に足元の確認が必要です。
人や動物に乗り移った「マダニ」の吸血は1時間や2時間では終わらず、1週間以上続く場合も。
噛むと離れないようにセメント物質を出し、口を固定することで血をゆっくりと吸い続けます。血を吸った直後の「マダニ」は、血を吸う前に比べて5倍近く膨れ上がり、吸血後は落下し数百個の卵を産みます。噛みついている「マダニ」を力ずくで取るのは、口先が体内に残ってしまうため危険!噛まれたら皮膚科を受診し取ってもらうのが良いそうですが、噛まれる前に対処するのが一番です。

「マダニ」の被害を防ぐためには…
①黒っぽいズボンはマダニが見えにくいので明るい色のズボンで見えやすく
②林や草むらにはなるべく入らない・草むらに入ったら足元を必ずチェックする
③こまめに足の前側を確認
また「マダニ」にも市販の“虫よけスプレー”が効果的。「マダニ」は、ズボンについて中に入り、皮膚の柔らかい部分を見つけて噛みますが、痛みもないため噛まれても気付きにくいそうです。ジャンプなどできず基本的には下から上がってくるため、ひざ下から足元まで、衣服の素材に注意して、ズボンや靴に“虫よけスプレー”を吹き付けると良いとのことです。

これらのことに十分気を付けて、キャンプなどの外遊びを楽しみましょう!

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