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福岡県民が愛してやまないローカルフード「むっちゃん万十」その知られざる真実!


福岡県民に愛されているローカルフード、みんな大好き「むっちゃん万十」!その姿は、有明海の干潟に生息する“ムツゴロウ”の愛くるしい見た目をかたどっている。甘い味だけでなく、ハムエッグやウインナーなどの惣菜系メニューも豊富だ。
創業およそ40年。福岡県を中心に、直営店とフランチャイズ店18店舗を展開している「有限会社T.M.K」。2021年に広島・福津・小倉、2022年には長崎の対馬・東京の浅草と、新店舗が続々オープンしている。
そんな、福岡県民が愛してやまない「むっちゃん万十」の真実に迫る!

むっちゃん万十発祥の地!実は福岡ではなかった!?

基山パーキングエリア(下り)では、1日で500個~600個売れることもある「むっちゃんまんじゅう」。おやつなのか、朝ごはんなのか、食され方は自由。とにかくおじいちゃん・おばあちゃんからお父さん・お母さん、孫達に至るまで愛されている福岡のソウルフードなのだ。

しかし! 取材を進めていくと驚愕の事実にぶち当たった! 福岡のソウルフードであるむっちゃんまんじゅうは、なんと発祥は長崎県諫早市だという。諫早で誕生した後に先代社長が福岡で勝負したいと言うことで一念発起して現在の大野城の店舗を立ち上げたそうだ。

しかも、むつごうろうのフォルムを意識した現在の形は、諫早湾干拓事業で絶滅が危惧されていたむつごうろうへの想いの強さから開発されたモノだという。

さらに、むっちゃんまんじゅうの人気種といえば、「ハムエッグ」だが、このハムエッグが生まれた理由は、まんじゅう激戦区・福岡のなかでは、あんこやクリームを入れたまんじゅうだけでは勝機が無いと思い、お弁当の具材などでトライアンドエラーを繰り返した結果生まれたのが、現在の「ハムエッグ」だった。

いまや、全国区で活躍のアーティストも好んで食すむっちゃんまんじゅうは、コンサート会場の楽屋に差し入れされることも多い。そこでSNSで拡散すれば、翌日はお店の前は行列に。

それでも、焼き台はMAX14個しか一度に焼くことはできず、どれだけ待たせても、手間暇は惜しまずいつもの味を提供する。
これからもむっちゃんまんじゅうは、食す人々の期待に応える懐かしい味で愛され続けるのでしょう。

今回、詳しい話を玉木紀充・2代目社長に聞いた。

むっちゃん万十の本店があるのは福岡県大野城市だが、実は発祥の地ではない。創業者は長崎県諫早市出身で、1度は諫早に出店したが、ビジネスとして福岡に進出しようと諫早の店を閉めて出てきた経緯があるという。福岡のソウルフードと言えるむっちゃん万十のルーツが長崎とは、驚きだ。
ムツゴロウをモチーフにしたことも諫早と深く関係している。当時、諫早湾干拓で堤防の水門が閉じられたことで生態系が変わり、ムツゴロウが絶滅するのではという危惧があった。そこで何か親しみやすい形で残そうと、むっちゃん万十が作られたのだ。
さらに味を追求した結果生まれたのが、むっちゃん万十の代名詞「ハムエッグ」だ。先代が店を始めた当初は、黒あん・白あん・カスタードの甘いメニューのみだった。まんじゅう激戦区である福岡で生き残るため具材に選んだのが、卵・ハム・キャベツ・マヨネーズ。当時惣菜系のまんじゅうは非常に珍しく、学生を中心に大ヒットした。

金型は、1回で同時に作れるのが最大14個。焼き上がるまで7~8分かかるが、機械に頼ることなく手作りにこだわっている。具材が多いむっちゃん万十は、焦げないよう作業スピードも求められ手間ひまがかかるが、全てはおいしいまんじゅうを作るため。むっちゃん万十の懐かしい味を守り続けることで、“親から子へ、子から孫へ”と受け継がれる味にしたいと玉木社長は言う。

週末に大量購入する謎の会社!?


週末になると、ある会社から大量の注文が入る。多い時でなんと600個!毎週2~3回定期的にまとめ買いするその会社とは…?
大量のむっちゃん万十が届けられたのは、PayPayドームの隣にあるライブハウス「Zepp Fukuoka」。実は、ミュージシャンやコンサートスタッフへの差し入れとしてむっちゃん万十が選ばれていたのだ。まとめ買いしていたのは、ライブやイベントの企画運営会社「キョードー西日本」だ。
「出演者が全国を飛び回る中、福岡のおいしいソウルフードを食べてもらい、ステージ上で気持ちよくパフォーマンスしてもらえれば」「忙しいのでパッとつまめるものが良いという希望がある。むっちゃん万十は勝手がいい」

高校生がむっちゃん万十を大量販売!?

会社の経営や起業などビジネスの知識を学ぶ宇美商業高校。毎年文化祭で各クラスが出店し、生徒が商品を仕入れ、販売・決算まで実践的に学ぶ。そこでむっちゃん万十を販売しているのだが、1日で1000個が完売するという。

むっちゃん万十と宇美商業高校との繋がりは20年続いている。実は1000個のむっちゃん万十を準備するため、いくつかの店舗で当日の夜中から焼いているのだという。
高校生からは毎年感謝の手紙が届く。こうした地元の学校との交流が新たなファン獲得にも繋がっている。
むっちゃん万十が福岡のソウルフードと呼ばれる理由が、ここにもあった。

(文:軽部 明香里)

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