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お金を学ぶ若い世代が急増中!~金融リテラシーが人生の武器になる時代~

個人の金融資産は約2000兆円と現在貯蓄が多い日本。現金預金が54%の日本に対して、アメリカは株式や投資信託が約51%を占めています。
先月5月、岸田総理は新しい資本主義の具体策として貯蓄から投資へシフトしようと「資産所得倍増プラン」を打ち出しました。

「資産所得倍増プラン」に伴い、今年の4月から高校の新学習指導要領に取り入れられた「金融と経済を学ぶ資産形成」の教育。高校では新たなカリキュラムの準備を進めています。
商業高校の方が普通高校に比べると取り組みについては進んでいて、今回の学習指導要領の変更にあたり、来年度以降から使用する教材としてグローバル経済という新しい科目が設けられます。その他マーケティング・ビジネス基礎・投資信託など大学で習うような内容も盛り込まれています。
ビジネスの基礎の学びを主体とする「福岡女子商業高等学校」では、為替について企業の株価や業績、経済の動きを踏まえて見たり、授業の一環として株価の動きを投資ゲーム形式で学んだりしているのだそうです。
また「ウクライナ情勢や世界的なコロナウイルスの影響によって株価が動く。日本の経済だけど日本だけの問題ではない。世界との関わりも大事なのだなとニュースの見方も変わった」と、世界情勢が日本の株価の動きに連動して株価が上下する背景も勉強しているようです。

「奨学金ローン、人生100年時代、老後2000万円問題などの中でハイリスクなのかローリスクなのか、ハイリターン・ローリターンなどそれぞれのタイプによって自分自身の生き方にどれが適しているか考えるきっかけを伝えていきたい」と商業科主任の橋本直英教諭。
個人的に4年前からNISA(少額投資非課税制度)とiDeCo(個人型確定拠出年金)、ふるさと納税を始めたそうで、「アップデートしながら取り組む必要があり、生徒達と共に学んでいる」と語ります。

今年の4月から成人年齢引き下げに伴い、親の同意がなくても18歳で部屋を借りたりクレジットカードを作成したりと様々な契約ができるようになりました。しかし、契約には必ず自己責任が問われます。「リスクは存在するので、そのリスクを伝えることが教員の役目。失敗して初めて知るのではなく、高校の学習シミュレーションの中で失敗することで学びに繋がり、社会に出て活かす」という教育を目指しています。
若い女性の間ではオンライン講座でお金を学ぶ人が急増中。
数年で経済格差が開いたことでお金について自分で資産形成しなければならないと考える人が増えていて、つみたてNISA総口座数は2018年末の51万口座から2021年3月では361万口座と約3年で7倍以上に急増するなど、ここ数年で貯蓄から投資へお金を運用するという意識が高まっているようです。

お金について学ぶ「オンラインパーソナルトレーニング」では講師がマンツーマンでお金にまつわる様々なことを指導。このサービスを運営しているのが「ABCashテクノロジーズ」。
2018年創業当初は金融商品の勧誘と勘違いされ困惑したそうですが、老後2000万のニュースやコロナウイルスの流行を契機にオンラインへ移行したことで受講者は2.5倍に急増。累計で1万7000人以上が受講しています。
学校の授業で習ったことがなく、知らないまま世の中に放り出されている世代の人が多いため将来の不安を抱えて勉強するといった20代30代の若い女性や主婦の受講者が多いそう。

看護師をしている池上茜さんもその一人。金融基礎から講座の使い方、保険やライフデザインなど幅広く学んでいます。
以前は値札を見ずに買うなどお金の使い方に計画性は無く、現実で分かってはいても目をそらしていたそう。しかし、老後2000万問題や年金だけで生活できないことなど「将来への不安」がお金を学ぶきっかけになり、どうにか資産形成をしていかなければならないと考えています。

「ABCash」は3ヶ月の短期集中型のお金の知識全般を教えるサービス。1対1の個人指導でトレーニングしていくので、生徒ひとりひとりの状況に合わせて年金や保険、住宅ローン、投資、NISA、iDeCoについてなど全てを3ヶ月で学ぶプログラムとなっています。
まずは「自分の家計簿を見える化すること」から始まります。自分の担当のコンサルタントに日々の収支を報告し、使い方のアドバイスをもらったりお金の相談をしたりしながら、自分の収入・支出のバランスを把握し、金融の基本を学んでいきます。

池上さんはお金の“あれこれ”を学び、ウクライナ侵攻直前に「つみたてNISA」を開始。
ウクライナの関係で初めは暴落しましたが「投資は長期で見るもの」「止めないで毎月コンスタントにやっていくことが大事」ということを学んだことで続けられ、今株価が上昇してきたことで間違ってなかったと安心して見ているそうです。

ABCashテクノロジーズ代表取締役社長の児玉隆洋さんは「お金の本質は人生を豊かにするための道具であり手段にすぎない。令和という時代になり一気に経済が衰退していき、テクノロジーなどによって新しいお金の形・概念が生まれてくる。金融リテラシーが人生の武器になる時代になる」と話します。
地域通貨やプレミアム商品券を電子化して決済できるアプリを開発・提供する会社「株式会社まちのわ」を設立した金融・経済のプロフェッショナルの入戸野真弓さん。三菱USJ銀行を経て、SBIホールディングスに所属し業務提携先の筑邦銀行でデジタル戦略を担当しています。

このアプリ「まちの縁」では、自治体・地域ごとにプラットフォームを作ってお客様が店舗に行き、そのアプリでQRコード決済をしてもらうことによりその地域で人とお金を循環させています。
また地元のイベント情報や災害情報などの情報も地域の人々に発信することができます。最初は担当者に説明しても理解を得るのが難しかったですが、現在は28の地域で導入されています。

昭和の時代は給料が手渡しだったのが現在は振込など電子マネー決済が進み、現金を使う機会がなくてもいい時代。若い世代がお金を学ぶことに対してウェルカムで、自身も15歳の息子に対して夫が行う農業の収穫体験を通してお金の学びを教えているそう。お金が目に見えにくいデジタル時代だからこそ金融・経済を学び、体験する教育が必要なのです。

知らないと損をしたり詐欺にあったり、元本割れのリスクがある時代。若い世代が人生を豊かに暮らす備えの一つとしての正しいお金の知識を身につけることが重要です。

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