RKBラジオ『立川生志金サイト』のコメンテーター、潟永秀一郎・元サンデー毎日編集長はかつて作詞家を志望していた。そこで毎月一回お送りしているのが「この歌詞がすごい」という解説コーナー。11月25日の放送では、熱戦が続くサッカーワールドカップをテーマに2曲の歌詞を読み解いた。
友達でもライバルになる現実を歌った「DAWN」
多くの皆さんは昨日(11月24日)、頭の中は「サムライジャパン」一色だったでしょう?そこで、まずはサッカー日本代表応援プロジェクト「SAMURAI BLUE 新しい景色を」の公式テーマソングDISH//の「DAWN」の歌詞を読み解いていきます。
タイトルの「DAWN(ドーン)」は「夜明け」です。最近の曲は、もう英語交じりは当たり前ですね。以前も少しお話しましたが、この道を拓いたのは桑田佳祐さん。1980年代初めから、当たり前に歌詞に英語が入って、一つの流れの中で歌うという――あれから40年を経て、それが普通になったことにも感慨を覚えます。
Good bye my friend(さらば友よ)、the time is here(その時が来た)という歌いだしは、続く「新しい幕開け 居場所を求め」で意味が解かれます。つまりは代表選考。友達でもライバルになる現実です。
途中、すべて英語で歌われる
Everyday we make our choices and believe that it will lead the way
(僕らは日々、決断を重ねて生きている。それが未来に続くと信じて)
は、この歌のテーマに近いと思うんですが、つまりは「今を生きる」ということです。
それはサビのアタマ「今、この瞬間を感じて望むなら Stand up 明日を信じて生きるから」や、2番の冒頭「あなたに伝えたかったことも 明日には全部忘れるんだろう」という歌詞で、自分に言い聞かせるように繰り返されます。
「色褪せた記憶たどって」の「記憶」は、ワールドカップでの過去の戦績でしょうか。「常闇(とこやみ)が明けるまで謳うよ」は「そんなもの吹き飛ばすよ」という覚悟に聞こえます。
そして「すべてを今にかける」という、突き放した背中を見せながら「生まれた意味を あなたと探したい」「確かな今をあなたと掴みたい」と歌う。これ、恋人や奥さんだったら泣きますよね。その意味で、この応援歌は優れたラブソングでもあるんです。
タイトルの「DAWN(ドーン)」は「夜明け」です。最近の曲は、もう英語交じりは当たり前ですね。以前も少しお話しましたが、この道を拓いたのは桑田佳祐さん。1980年代初めから、当たり前に歌詞に英語が入って、一つの流れの中で歌うという――あれから40年を経て、それが普通になったことにも感慨を覚えます。
Good bye my friend(さらば友よ)、the time is here(その時が来た)という歌いだしは、続く「新しい幕開け 居場所を求め」で意味が解かれます。つまりは代表選考。友達でもライバルになる現実です。
途中、すべて英語で歌われる
Everyday we make our choices and believe that it will lead the way
(僕らは日々、決断を重ねて生きている。それが未来に続くと信じて)
それはサビのアタマ「今、この瞬間を感じて望むなら Stand up 明日を信じて生きるから」や、2番の冒頭「あなたに伝えたかったことも 明日には全部忘れるんだろう」という歌詞で、自分に言い聞かせるように繰り返されます。
「色褪せた記憶たどって」の「記憶」は、ワールドカップでの過去の戦績でしょうか。「常闇(とこやみ)が明けるまで謳うよ」は「そんなもの吹き飛ばすよ」という覚悟に聞こえます。
そして「すべてを今にかける」という、突き放した背中を見せながら「生まれた意味を あなたと探したい」「確かな今をあなたと掴みたい」と歌う。これ、恋人や奥さんだったら泣きますよね。その意味で、この応援歌は優れたラブソングでもあるんです。
今日を生き抜くエネルギーになるような音「Stardom」
もう1曲は某公共放送の応援歌ですが、King Gnuの「Stardom」です。
この歌、なんといっても「あと一歩 ここからあと一歩 ココロが草臥れた(くたびれた)足を走らせる」というサビが効いていますし、耳に残ります。
スポーツをしたことのある方なら分かると思いますが「もう足が上がらない、息が続かない」という状況でも、心が折れていなければ、なぜだか体は動きますよね。
それはおそらく人生も同じで、例えば、子育てで疲れ果てて泥のように眠ったお母さんが、それでも赤ちゃんの泣き声には起きるとか――自分が大切だと思うもののために自分を奮い立たせる時って、みんなありますよね。
その意味で、このサビはすべての人の心に刺さるフレーズだと思いますし、作詞・作曲した常田大希さんも「一戦一戦に全身全霊を賭けるスポーツ選手はもちろんのこと、大変な時代を生き抜く全ての人々の、今日を生き抜くエネルギーになるような音を俺は鳴らしたかったのだと、そう思い立って作ったのが『Stardom』です」と話しています。
また、この歌も英語の歌詞が重要な役割を果たしていて、例えば「Honey make the world get down」は直訳すると「世界は蜜にひれ伏す」ですが、「何度自分の背中を蹴った?」と続くので、ここでは「楽な道を選びたくなる」といった意味でしょうか。楽をしたくなる自分を鼓舞して、「One Time(一度きり) 人生は果ての無い Pointless Journey(無意味な旅)」なんだと、自分に言い聞かせます。
そして「雲を切り裂いて大気圏まで 真っ逆さま地獄の果てまで High with me & Down with me(登るも落ちるも自分次第) It's time to get fly with me(さあ、羽ばたく時が来た)」と、すべては自分次第なんだと続きます。
ちなみに、11月23日の対ドイツ戦の決勝ゴールを見て、改めてこの歌を聞くと、冒頭の歌い出し「夢で胡麻化した笑顔の裏で 何度泪を流した?」「歩んだ道程(みちのり)を思い出して 何度屈辱を飲み込んだ?」という歌詞が、前回ワールドカップメンバーを落ちた4年半前から走り続けてあのゴールを決めた浅野拓磨選手や、予選で勝てなかった頃、批判され続けた森保監督の姿と重なって、グッときました。
最後の歌詞は「終わりを怖がらないで 所詮無謀だと笑って 人事を尽くし切って今 天命を待つだけ」です。森保監督は予選段階から「ベスト8」を目標に掲げていましたが、ドイツを破った今、それを「無謀だ」と笑う人は誰もいないでしょう。
人事を尽くし切った日本代表が、どんな天命を授かるのか――夢は膨らむばかりですが、でも忘れてならないのは、彼らはサッカーを始めてからこれまで「あと一歩」「あと一歩」と、ひたすらに走り続けてきたということ。どんな結果になっても、その尊さは消えないということです。
日曜日のコスタリカ戦、私たちも、その「あと一歩」を後押ししましょう。
この歌、なんといっても「あと一歩 ここからあと一歩 ココロが草臥れた(くたびれた)足を走らせる」というサビが効いていますし、耳に残ります。
スポーツをしたことのある方なら分かると思いますが「もう足が上がらない、息が続かない」という状況でも、心が折れていなければ、なぜだか体は動きますよね。
それはおそらく人生も同じで、例えば、子育てで疲れ果てて泥のように眠ったお母さんが、それでも赤ちゃんの泣き声には起きるとか――自分が大切だと思うもののために自分を奮い立たせる時って、みんなありますよね。
その意味で、このサビはすべての人の心に刺さるフレーズだと思いますし、作詞・作曲した常田大希さんも「一戦一戦に全身全霊を賭けるスポーツ選手はもちろんのこと、大変な時代を生き抜く全ての人々の、今日を生き抜くエネルギーになるような音を俺は鳴らしたかったのだと、そう思い立って作ったのが『Stardom』です」と話しています。
また、この歌も英語の歌詞が重要な役割を果たしていて、例えば「Honey make the world get down」は直訳すると「世界は蜜にひれ伏す」ですが、「何度自分の背中を蹴った?」と続くので、ここでは「楽な道を選びたくなる」といった意味でしょうか。楽をしたくなる自分を鼓舞して、「One Time(一度きり) 人生は果ての無い Pointless Journey(無意味な旅)」なんだと、自分に言い聞かせます。
そして「雲を切り裂いて大気圏まで 真っ逆さま地獄の果てまで High with me & Down with me(登るも落ちるも自分次第) It's time to get fly with me(さあ、羽ばたく時が来た)」と、すべては自分次第なんだと続きます。
ちなみに、11月23日の対ドイツ戦の決勝ゴールを見て、改めてこの歌を聞くと、冒頭の歌い出し「夢で胡麻化した笑顔の裏で 何度泪を流した?」「歩んだ道程(みちのり)を思い出して 何度屈辱を飲み込んだ?」という歌詞が、前回ワールドカップメンバーを落ちた4年半前から走り続けてあのゴールを決めた浅野拓磨選手や、予選で勝てなかった頃、批判され続けた森保監督の姿と重なって、グッときました。
最後の歌詞は「終わりを怖がらないで 所詮無謀だと笑って 人事を尽くし切って今 天命を待つだけ」です。森保監督は予選段階から「ベスト8」を目標に掲げていましたが、ドイツを破った今、それを「無謀だ」と笑う人は誰もいないでしょう。
人事を尽くし切った日本代表が、どんな天命を授かるのか――夢は膨らむばかりですが、でも忘れてならないのは、彼らはサッカーを始めてからこれまで「あと一歩」「あと一歩」と、ひたすらに走り続けてきたということ。どんな結果になっても、その尊さは消えないということです。
日曜日のコスタリカ戦、私たちも、その「あと一歩」を後押ししましょう。
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