“にわか”で「テスラ株急落」　下田アナが取り組みました

月曜から木曜の午後4時から7時までお送りしている「仲谷一志・下田文代のよなおし堂」
毎回“にわか”で始まります。博多にわかは福岡市の無形民俗文化財です。
郷土の芸能を大切にする精神を受け継いで、日常や世相を表現します。
そして「よなおし堂」では、毎週水曜日に博多にわか振興会相談役の志木らん梅さんをお迎えして、毎回パーソナリティが本格的なにわかを作って精進しております。
今日は、下田文代が作ります。
お題は「テスラ株急落」。さて、どんなにわかができましたでしょうか。

下田文代のにわかです。
「マスクさん、もし。ああたが社長ば務めるアメリカの電気自動車企業テスラ社の株価が急落しとるげな。なしてですな？」
「あたきが最高経営責任者ば務めとるとやけん、株価の下がるたぁおかしか。消費者やら
投資家の目が節穴やけんたい」
「マスクさん、何ば言いよんしゃあとね。物流の問題やら、テスラ社の人気やらが影響しとるとたい。加えてツィッター社買収ばめぐるああたの経営者の資質が問われとるとやなかですな？」
「いいや、あたきゃ株価の下がって、フォード社の時価総額と同じくらいの資産、7兆円が
消えたっちゃどうもなか。あたきの人気ですぐぃ取り戻しますばい」
「マスクさん、そげん簡単にうまくいかんですばい。投資家も消費者もバカじゃなか。ああたの気持ちだけで株の上がるわけじゃなか」
「なしてそれば断言でくるとですな？」
「そらぁ、株価の値上がりぁ、市場（私情）じゃ思い通りぃいかん」

志岐らん梅さんが、風刺・構成・オチの3つの指標で採点してくださいます。
　　風刺：3/4　　構成：3/3　　オチ：3/3　　合計：9/10　
講評です。
　マスクさんの経営者としての資質を問う内容はよく伝わりました。博多にわかでの風刺表現は批判を逆の言い方をして皮肉にするところにあります。つまり「株価の値上がりは私情通りにいきませんよ」というのをマスクさんに「私情通りにいきます」と言わせる手法になります。「マスクさん、ああたの気持ちだけで株価の上がるわけじゃなか」「いいえ、そげなこたぁござっせん。思い通りぃいくとが、市場（私情）ぃなっとります」
　構成としてはフォード社のこともよく調査され時間をかけてにわかを作られていると思います。終始、マスクさんの経営者としての資質を問う内容で一貫性があり違和感もありませんでした。また、お題の「テスラ株急落」に関連がある「市場」をオチにしたことも安定した構成に繋がっています。
自動車関連であれば「市場」のオチに対しては「試乗」にしがちですが話の軸が「株価の市場」か「車の市場」で、ぶれやすくなるので、片方だけが関連があるものにしたのはいい選択でした。また、「私情」にしたことでマスクさんの気持ちを出す力強いにわかになっています。

志岐らん梅のお手本にわかです。
「イーロン・マスクさんがＣＥＯばしよんなる電気自動車メーカーのテスラの株価が急落しとる。生産予想台数ば下回ったとが一つの原因げな。それでちゃ前年同期比の３１％ぁ上回った生産やったとげなばい」
「そんなら、工場ぁ、猫の手まで借りたかごと忙しかったとじゃろうね」
「そうたい。あたきが、そげなふうなら、猫ばかき集めてきまっしょうかて聞いたら、猫ぁつまらんて言いなった」
「猫がつまらんとなら、どげな動物がよかとじゃろうか。今年ぁウサギ年じゃけん、ウサギのごたぁとがよかとじゃあろうか？」
「いいや、猫さんでもウサギさんでもなか。生産量ば増やすとじゃけん、象さん（増産）がよかて言いなった」

これからも、よなおし堂のにわかをお楽しみに。