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長野県 伝統的工芸品「農民美術」

長野県の伝統工芸品のひとつ「農民美術」は、農家の人々が手作りで制作した工芸品の総称。
100年前=大正時代に、洋画家で版画家の山本鼎(かなえ)が、現在の上田市で興した芸術運動です。
その作品のなかでも、今、ひそかなブームになっているのが『こっぱ人形(木片人形)』。
高さ5~10Cmほどの木製の人形で、働く人や土地の風俗を模したもので、味わい深くかわいい、そして力強い魅力にあふれています。
畑仕事、郵便配達、スキーに野球…いろんなモチーフがあり、現代版だとサンタクロースなんてのも!
下の写真は、盆踊りの『こっぱ人形』の展示。
サントミューゼ・上田市立美術館の学芸員、山極佳子さんに山本鼎の活動と作品をご案内いただきました。

「農民美術は、農閑期である冬の農民たちの副業として、山本鼎が奨励したもの。
農閑期をより豊かな生活にしていこう=それには、収入を得るということと、収入を得る手段そのもので豊かな心を育んでいくという2つの面があります」と、山極さんの解説。
山本鼎がフランス留学から帰国する時にロシアで見た、農村民たちが創り出した自由な工芸表現が、農民美術運動を興すきっかけだったそうです。
ちなみに山本鼎は、創作版画の第一号。
それまでは、浮世絵など印刷技術としての版画しかなかったのが、山本鼎の「漁夫」という版画作品をきっけに美術としての版画が誕生したのだそう。
農民美術の作品は、どっしりした木彫りの箱やプレートなどなど、素朴で堅ろうなイメージのものが定番。
『上田獅子』のモチーフはお土産や贈答品として親しまれてきたそうです。
上田獅子は上田城築城の時に舞われたことから、家の新築や会社が立ち上がる時に、地固め・縁起かつぎとして送られる風習があるんのだとも。
街なかのお店の看板に使われていたりもします。

そして、もうひとつ、山本鼎が興した運動が「児童自由画運動」。
明治から大正の初めまで、子供への絵画指導は「お手本に忠実に描く」でした。
山本鼎が唱えたのは「お手本を見るより、本物を直に見て、そこから湧き上がる感動を直接絵に描けるようにしたほうがいい」ということ。
現代の私たちが学校で教わった絵を描くことの基本は山本鼎が作ってくれたんですねえ。
そして、この山本鼎。福岡県ともつながりがある人物なんです。なんと、北原白秋の妹=いえ子の夫なんです~。
つまり白秋と鼎は義理の兄弟。山本鼎が白秋の詩集の挿絵を手がけたり、「赤い鳥」「金の船」などに寄せられる絵画作品の選評を担当したりしたんだそうです。
柳川地区のみなさまは特に!上田にお出かけしましょう。
山本鼎の作品や運動、そして関連作品などは、サントミューゼ・上田市立美術館で常設展示されています。
運がよければ企画展にあたるかも!ミュージアムショップで、『こっぱ人形』も購入可能。鳩型の砂糖壺も名品なんだよな~。

□ 上田市立美術館 →
https://www.santomyuze.com/museum/
□ 信州上田観光情報 →
https://www.city.ueda.nagano.jp/site/kankojoho/
□ 信州上田観光協会 →
http://www.ueda-cb.gr.jp/
□ 長野県公式観光サイト →
https://www.go-nagano.net/
□ FDA フジドリームエアラインズ →
http://www.fujidream.co.jp/

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