PageTopButton

宝の海をあきらめない

2019年第4回
制作:RKB毎日放送
ディレクター:里山 千恵美

有明海の漁業者たちが、今、追いつめられている。
最大の苦難は国による諫早湾干拓事業によって「宝の海」有明海の環境がすっかり変わってしまったことにある。潮流が変化し、排水門から排出される汚れた水は赤潮を発生させる。漁獲は減少の一途。かつて宝の海の象徴だった高級二枚貝タイラギは休漁が続く。諫早干拓に近い佐賀県西南部のノリもダメージが大きい。以前と違い年ごとに大きく変化する不安定な海の状態に、漁業者は安心して漁を行えない状況だ。
漁業者たちは宝の海の再生を目指して、干拓事業によって閉鎖された潮受け堤防の開門を求め、多くの裁判で闘っている。一度は開門を認める確定判決が出たもののそれは履行されることなく、ここ最近の司法は非開門の流れに転じている。しかし国寄りの司法判断は、問題解決にはほど遠い。
また昨年、有明海沿いの佐賀空港に自衛隊オスプレイを配備する計画の受け入れを佐賀県が表明した。これも漁に多大な影響を与えることが懸念され、諫早干拓で公共事業への不信を植え付けられた漁業者達に不安が広がる。国は100億円の着陸料を支払うことで県と合意し、県はそれを漁業振興基金に充てるとして漁業者の懐柔を狙う。
有明海に生きる漁業者は、今大きな岐路に立たされている。不安定な海の状態に後継者は育っていない。海が涸れるのと同時に、貴重な漁業技術の数々も消えようとしている。だが、宝の海のかつての豊かさを知る漁業者は、海を諦めることは出来ない。
有明海の未来を思う、漁業者の姿を追う。

各局の放送予定

この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう

radiko 防災ムービー「いつでも、どこでも、安心を手のひらに。」