負けんばい～熊本地震からの復興をめざして～

2017年第1回
制作:ＲＫＫ熊本放送
ﾃﾞｨﾚｸﾀｰ:中山　直

2016年4月、最大震度７の大地震が2度、熊本県を襲った。いたる所に地割れが広がり多くの建物が倒壊、道路や鉄道施設なども大きな被害を受けた。 益城町でアマチュア劇団を主宰する堀田清さん(66)はこの惨状に「これが自分の住んでいた街なのか」とショックを受けたという。熊本県内の被害は関連死を含め死者が164人（2016年12月21日現在）、18万棟もの建物が壊れた。 地震によって堀田さんは自宅が半壊し、家族とともに2週間、車の中で寝泊まりした。地震が夜中に起ったため、余震への不安は大きく家族は家の中で寝ることができなかったという。劇団が稽古で利用していた町の施設は避難所になり、劇団員も被災してしばらくの間、練習は休止せざるを得なかった。 そんな折、堀田さんたちの劇団に舞台公演の話が舞い込んだ。上演するのは120年前、熊本に旧制五高教師として赴任した夏目漱石の暮らしぶり。家族愛に恵まれなかった漱石は、熊本にいた4年3か月の間に結婚し子どもを得た。 熊本で新たに家庭を築こうとした漱石の姿は、熊本地震で家を失い、生活を立て直そうとする被災者に重なる。地震から５か月後、堀田さんたちの舞台の幕が上がった。