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おばけニンニク 海を渡る

熊本県阿蘇郡南小国町の若手農家たちの団体「百姓いっき」。
彼らの目標は、山間地でも安定した利益を出す事ができる農業スタイルの確立だ。そこで彼らが目をつけたのは世界一のサイズを誇る「エレファント・ガーリック」という品種の巨大なニンニク。大きいものでは直径10センチほど、重さ500g超にもなる。彼らはこのニンニクに、地元「小国(おぐに)」にちなんで、「おぐにんにく」と名前を付け、ブランド化を目指している。

「おぐにんにく」生産の中心として働くのは井正恵さん(32)。5年前から栽培を始め、より大きなニンニクを作り上げようと研究を重ねている。今年は、これまでで最大級のサイズとなる900gを超えるニンニクの収穫にも成功した。
百姓いっきは「おぐにんにく」の価値を高めるため、さまざまな工夫を凝らしている。見た目のインパクトを活かしたパッケージは土産物に最適。また手軽に食べられるよう、地元の商店に協力を呼びかけ、様々な加工品の開発を行っている。

さらに今年は香港に「おぐにんにく」を売込む。ハロウィンに絡めたアイディアを盛り込み、「おばけカボチャ」ならぬ、巨大な「おばけニンニク」で海外の市場に挑戦だ。

<問い合わせ先>

百姓いっきFacebookページ
https://www.facebook.com/hyakusyou.ikki

取材後記

今回取り上げさせていただいた「百姓いっき」のみなさん。“おぐにんにく”担当の井正恵さんをはじめ、メンバーは地元愛が強く、南小国という町を盛り上げるためにどうしたらよいかというのを常に考えています。メンバーが集まると、作業のかたわら「“おぐにんにく”を使ったグルメ大会はどうだろう」「世界中から料理人を呼んでやってみたら面白いかも」など、大きな夢を語っていました。「百姓いっき」では言いだしっぺが実行するという決まりがあるから迂闊な発言は出来ないけれど、と笑っていたのが印象的でした。

彼らが“おぐにんにく”の価値を高めるために取り組んでいる加工品作り。いちばん驚いたのは“おぐにんにく黒”。“おぐにんにく”を発酵・熟成させた、いわゆる黒ニンニクなのですが、ニンニクの辛みはまったく感じられず、プルーンのような甘さで、老若男女、海外の方にまで好評でした。アルコールの分解を促進させる効果が高く、お酒好きの方にもピッタリとのこと。この黒ニンニクを自作したい!と“おぐにんにく”をキロ買いしていく方もいらっしゃるそうです。

そして香港取材。放送には出ていませんが、売り込み以外に、果物や野菜をあつかう市場の調査を行いました。ここで目に付いたのは日本産の果物。りんごや梨などが高級フルーツとして並んでいます。聞くところによると、中国人は丸くて大きいものが大好き!そして赤や金色の派手な装飾を好みます。果物も一個一個にシールやリボンなどで装飾が施されていました。大きなニンニクを、パッケージにこだわって売り込むという「百姓いっき」の戦略はここから生まれたのか、と感じさせられる光景でした。

日に日に注目度が高まり、さまざまな取材の依頼も舞い込んでいる“おぐにんにく”。独特の発想や工夫で町に活気をもたらす「百姓いっき」は、山あいの町の未来を担う存在となっている、と私は思います。

RKK 熊本放送 上田 浩揮

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