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「コリコリ感がおいしい!」迷惑竹林を活用した“メンマ”一般販売へ 福岡・久留米市

放置された竹林に生えている若い竹を「メンマ」に加工して商品化する取り組みが進んでいます。テスト生産を経て、「メイド・イン久留米」のメンマがいよいよ一般販売されます。

「メイド・イン久留米」のメンマ


薄口しょうゆに鶏がらスープ、酒などで味を調えた「白メンマ」に、ラー油を加えた「赤メンマ」。素材の収穫から加工まで、全て福岡県久留米市で行われた「メイド・イン久留米」のメンマです。

メンマの素材となる竹は、久留米市の高良山にある、放置されていた竹林で収穫されたものです。放置竹林の竹を使ったメンマ作りに取り組む渡辺琢磨さんたちのグループが2023年3月から、週に1回ペースで整備を続けてきました。

大きく伸びた周囲の竹をかき分けながら収穫するのは、約3メートルの若い竹です。この竹を5センチから15センチほどの間隔で切り分け、火を通し、1か月ほど塩漬けにするとメンマの原料が完成します。

「塩漬けした若竹」をメンマに加工


竹の収穫から1か月。渡辺さんたちは、塩漬けにした竹を事業所に持ち込みました。

渡辺琢磨さん「すごくいい状態だと思います。皆さんのところに届けるのが楽しみです」

この事業所が、塩漬けにされた竹の切り分けや塩抜き、味付けなどの加工を請け負っています。渡辺さんたちは2022年、調理施設を間借りするなどして、100グラム入りのメンマ900袋をテスト生産しました。2023年は、2022年の5倍の生産を計画した渡辺さんたち。計画の壁となったのは「人手」と「作業場所の確保」です。

渡辺琢磨さん「どうしても作業時間に制限があり、私たちも他の仕事があるので、作る作業は本当に大変でした」

「一から勉強しています」製品化を請け負った事業所


条件が合う委託先を模索する中、渡辺さんたちが出会ったのが同じ久留米市内で就労継続支援をする事業所でした。

渡辺琢磨さん「何社か断られたりもしたが、今回快く引き受けていただいて」

メンマ作りを請け負った事業所も、渡辺さんたちの活動に賛同しています。

夢工房 野上真紀子さん「正直全く知らなかったので、一から勉強しているのが現状なんですが、それでも私たちから次の発信ができて皆さんの取り組みを少しでも広げて手伝えていけたらなと」

子供たちが試食「おいしい!」


渡辺さんたちが取り組むのは、放置竹林の竹を使ったメンマ製造・販売だけではありません。
一般販売のメドが立った6月、渡辺さんたちが実施したのは「食育」イベントです。参加した市内の小学校に通う児童たちは、地元の高良山で問題となっている放置竹林の現状と渡辺さんたちの取り組みを、メンマを通して学びました。イベントのメインはもちろん、メンマの試食。この日、子供たちに提供されたのはメンマがたっぷり入った餃子です。

「おいしい」「中に、メンマが入ってる」「メンマのコリコリ感があって、おいしかった」

7月1日から一般販売を開始


いよいよ、渡辺さんたちが手がけたメンマの一般販売も始まります。

渡辺琢磨さん「こっちの方に、冷蔵庫と料金箱を置かせてもらって。白メンマ20個、赤メンマ20個は常時置いておこうかなと」

メンマは、7月1日から久留米市にある餃子専門店の無人直売所など市内3か所で販売される予定です。放置された竹林を手入れしながら次の世代に託すため渡辺さんたちはこれから、「メンマ作り」と「食育」を並行して進めていくことにしています。

渡辺琢磨さん「高良山も誰かが手を入れないと荒れていく一方なので、竹林も整備してきれいにしていけたら。“くるめ高良山メンマ”をおいしいとみなさんが食べてくれ、それをきっかけに高良山がもっと注目を浴びて、『よりきれいにしていこう』『次世代につなげていこう』という気持ちにちょっとでもなってもらえたら」

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