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日本の食文化を守れ! ~ウナギ完全養殖への道~

養殖ウナギの生産量日本一を誇る鹿児島県。国内で流通する4割を出荷する「ウナギ大国」だ。しかし、養殖ウナギの稚魚となる「シラスウナギ」の漁獲量が減り価格が高騰し死活問題となっている。
国は、卵から人口で育てる“完全養殖”を推奨。
そこに2014年から着手したのが、医薬品開発の支援事業を行う「新日本科学」だ。

社長の永田良一さん(64)は、「医療の最先端を研究しているので、シラスウナギくらい簡単に作れるだろう」と軽く考えていたが、現実は甘くはなかった。
人工で卵からシラスウナギに育てるうえで95%は成長できずに死んでしまう。その理由のひとつが“エサ”。卵からかえったばかりのウナギが、何を食べているのか謎に包まれているのだ。
永田さんは社長室でペットとしてウナギを飼い、生態を研究。さらに、2019年に奄美群島の沖永良部島に研究施設を設置し、独自のエサ開発・飼育環境の整備に着手。
2017年に3尾しか生育できなかったシラスウナギを、2021年には466尾まで増やすことに成功した。
5月には、沖永良部島で完全養殖した食用ウナギの試食会を開催。評判は上々。
安定した価格のもと養殖ウナギを生産できると地元の経済界も期待を寄せている。
2026年度に年間10万尾の生産を目標としている新日本科学。日本の食文化を守る企業の取り組みを追う。

取材先:株式会社 新日本科学
出演者:代表取締役会長兼社長 永田良一さん
住 所:鹿児島県鹿児島市宮之浦町2438
TEL:099-294-2600

取材後記

5月18日、沖永良部島で開かれたウナギの試食会。
調理されたのは、2020年11月~2021年5月頃に沖永良部研究室でふ化し、1年半飼育した。
島生まれ・島育ちの人工ウナギ。今回、特別に私たちも『蒲焼き』を食べさせてもらいました。
もちろん、人生初の人工ウナギ。
ひと口食べた感想は「ウナギだ…」という当たり前のものでした。
身がふんわりして脂がのり、皮までおいしい、普段食べているウナギと(あまり食べていませんが…)
変わらない味でした。
2026年度には年間10万匹のシラスウナギを生産する予定の新日本科学。
ぜひ数をどんどん増やしていただき、昼ごはんの選択肢に『ウナギ』を追加させてほしいです!
 

(MBC南日本放送 吉村 博徳)

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