小槌で「ポン」とたたくと、大きな音とともに白い湯気の中からあらわれる、ポン菓子。お米を加熱、加圧し一気に減圧することで10倍に膨らませたもの、どこか懐かしくやさしい味のおやつだ。
そのポン菓子を製造する国産第一号機を開発したのは吉村利子さん(100)。終戦前の激しい空襲と食料難の時代に、食べることの大切さを身をもって知った吉村さんは「子どもたちにお腹いっぱい食べさせたい」と、大阪から単身で北九州市へ。鉄の街で「ポン菓子機」を完成させた、その信念は「ポン菓子機こそ我が命」。
現在、その母の思いをつなぐのは息子の吉村雄三さん(73)。全国の企業やイベントで販促、国内に留まらず世界各地へ届けている。米はもちろん、とうもろこし、蕎麦の実、マカロニなど、どんな食材でも加工が可能。無添加の優しいサクサクのお菓子に変身させることからハワイの老舗菓子メーカーでも活躍中だ。
その技術を活かしたもう1つの製造機が「焼き栗機」。栗の水分をいかし、手間なく「焼き栗」を完成させる優れもの、栗農家からの注文がやまない。
米の大切さ、食の重要さを感じる令和の時代、ポン菓子機の進化を追いたい。
<取材先データ>
タチバナ機工
福岡県北九州市八幡西区
093-644-6115
ポン菓子機48万2790円~
圧力式栗釜49万6100円~
取材後記
「ポン菓子屋さんが来たよ!」
ご近所からそんな声が聞こえると、母にもらった50 円と一合のお米を手に、夢中でトラックまで駆けていく・・そんな幼い日の記憶を、40年経った今でも、私は鮮明に覚えています。なんといっても「ポン!!」というあの大きな爆発音。怖さと楽しさが入り混じる感覚、煮溶かした砂糖がからんだ素朴な甘さも、心のどこかにずっと残っています。
今回の取材を通して驚かされたのは、その懐かしいポン菓子機に込められている思いの深さです。子どもたちにお腹いっぱい食べさせたい――その切実な願いから生まれた機械が、今もなお多くの人に愛され、遠くはハワイでも活躍、さらに技術は生かされ、焼き栗機へと発展し農家を喜ばせるアイテムに!ポン菓子機に込められた志が、時代も国境も越えて受け継がれていることに、胸を打たれました。
100 歳になる吉村利子さんが生み出したものは、単なる機械ではなく、人を笑顔にし、暮らしを支えてきた“思いのかたち”だと感じています。これからも「ポン」の音と共に、ちょっぴりレトロなお菓子が愛され、そして吉村利子さんの思いもつながりますよう・・・願っています。
(RKB毎日放送/谷口あゆみ)
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