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「ブラック校則」追及 第4弾 眉毛と靴下の規定残したまま「見直し完了」と胸を張る教育委員会

ブラック校則が社会問題化する中、教育現場では「見直し」の動きも進んでいます。しかしその見直しは、「本物」でしょうか。「校則を見直した」学校も、その中身をみると実に様々。「見直す」ってどういうこと?

追及続ける弁護士 「校則やめます」となぜ言えないのか」

ブラック校則に関する相談を全国から受け付けている後藤富和弁護士。福岡県久留米市で開かれた「子供の人権」や「校則」について考える講演会で、語気を強めて訴えました。

後藤富和弁護士
「勝手に大人が決めた服のせいで学校に行けない生徒がいる。親や教師がすべきことは子供の権利を予め奪うことではなくて、子供が十分に自由を行使できるよう手助けすることではないか」

後藤弁護士は、合理的な理由がないいわゆる「ブラック校則」に悩み不登校になった学生らを継続して支援してきました。

後藤富和弁護士
「あのむちゃくちゃな校則を作り上げてきたのは大人なんです。だったら子供の意見を聞くまでもなく大人が反省して『もうやめます』が、何でそれが出来ないのかということなんです

ブラック校則が社会問題化する中、教育現場では少しづつ「見直し」の動きも出ています。しかし問題を追及してきた弁護士たちは、その見直しは十分ではないと指摘します。

靴下の長さはなぜ必要か

例えば、福岡県内では今年2月、ブラック校則の見直しを進めていた福岡市教育委員会が、「見直しは全て完了した」と発表しました。しかし「眉毛を剃ってはいけない、いじってはいけない」という規定や「くるぶし丈の靴下は不可」など靴下に関する細かな規定が依然残ったままの学校もあります。

佐川民弁護士
「靴下の色が白一色だったのが白と黒と紺とグレーから選べるようになったとか、言っていますが、しかしそもそもなぜ靴や靴下の色を指定しなければならないのか。その見直しまでにはいたっていない。自由に子供が意見が言える雰囲気まで含めて議論の場を提供しないと、本当の意味での子供が参加しての校則の検討にはならないと思っています」

何を着てもいい日 中学生が選んだのは

生徒主導で行う「校則の見直し」を実践している中学校があります。

RKB植高貴寛記者
「今、数学の授業が行われていますが、私服の生徒が積極的に手を挙げています」

福岡県古賀市にある古賀中学校、生徒会の生徒が中心になって、月に2回第1金曜日と第3金曜日に自由な服装で登校することを決めました。教室では、私服のほか制服や体操服など生徒たちが思い思いの格好で授業を受けています。
反応は上々です。

 

中学1年の生徒
「いつも制服だけど土日とかに着る服を学校でも着ることがてきて嬉しい」

 

中学3年の生徒
「みんなに私服を見てもらえるし、いつもと違うので気持ちが高まりますね」

1年前に始まったこの取り組みは、生徒や教職員、そして保護者が「校則の見直し」を「自分事として捉える」ために続けているといいます。

 

生徒会役員の生徒
「自由に着る金曜日という意味で『フリーウエアーフライデー』と名付けました。制服でも私服でも部活動着でも体操服でも何でもいいですけど、自由には責任がともなっているからTPO=時と場所と場合に合った服を着て自分たちで考えて着るという機会だと思っています」

このフリーウエアーフライデー。制服を着ることが苦手な生徒にとっては、登校しやすくなるきっかけにもなっているそうです。

生徒が見直したら「眉毛の形も靴下の色も自由」になった

古賀中学校では、2022年7月、生徒会が、生徒や保護者、教員に「校則に関するアンケート」を実施しました。アンケートであがった様々な意見を踏まえ、教員はほとんど関わらず、生徒会を中心に新しい校則を作り上げました。従来の校則には、髪型や眉毛に関する規定や靴や靴下の色を指定するなど、多くのいわゆる「ブラック校則」がありました。生徒たちが見直した新しい校則は、「学校生活に適した髪型」「必要に応じて眉毛を整えてもよい」「学校指定以外のかばんでもよい」 「靴や靴下の色指定」もなくなりました。

 

中学3年の生徒
「生徒がいろいろ自分で考えて、こうしたほうがいいんじゃないかと話し合って作りあげていけたことはすごく良かったなと思います。新しいことですね」

校則見直し後 生徒は「爪は切ろう 危ないから」

教頭の井上久子さん
「自分たち教員も、校則の意味について子どもたちに考えさせられた部分があるかなと思います。大人が柔軟であることが子供たちの将来につながっていくと思うので、私たち自身も時代の変化に応じて常に学び続けることが大切だと思います」

校則を見直した中学校。生徒からはこんな声もあがりました。

生徒会役員の生徒
「以前は校則の規定に合わせて部活動の時に前髪や爪の長さをチェックしていました。チェックすることがなくなった今年は爪が長い人が結構増えています。体育の授業では危険だから、身だしなみ、全体的に制服の着こなし方とか体操服の着こなし方とかを生徒会役員で発信していきたいと思います」

「危ないから」「危険だから」 本来ルールや規則には合理的な理由が必要なはず。校則を見直した学校には、自発的に考え行動する子供たちの姿がありました。

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