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痩せ細り糞便だらけ、奇形、多頭飼育崩壊…小学校のウサギ小屋のおぞましい現実、そもそも飼うのが難しい→相次ぐ「保護」→学校単位の飼育は限界なのか?【R調査班】

ニュースR調査班

植高貴寛

餌を与えられず痩せ細った個体、近親交配によるとみられる奇形、骨盤骨折で下半身不随になったまま放置された個体、そして繁殖が止まらず手に負えなくなる“多頭飼育崩壊”。これらは、情操教育の一環として飼われたウサギの一部の小学校における実態だ。校舎の脇に建てられた「飼育小屋」が、おぼろげながら幼少期の記憶に残っている人は少なくないかもしれない。記憶では、愛らしい見た目で癒やしてくれたはずのウサギたちは今、おぞましい現実に直面している―。そもそも、温度管理が必要で、周囲の環境に敏感なウサギを屋外で飼うのは簡単ではない。各地で「保護」されているウサギは、学校単位での飼育が必要なのか一石を投じている。

苔だらけのペットボトル、コンクリートむき出しの床で…

コンクリート床で飼育されるウサギ(江頭さん提供)

取材のきっかけは今年9月末、保護団体の女性から寄せられた情報だった。女性は、選挙の投票日に近所の小学校(福岡県久留米市)を訪れ、ふと「飼育小屋」に目をとめた。ウサギには一定の知識がある。置かれた環境が“劣悪”なのは明らかだった。

 

動物虐待撲滅アサルト久留米・江頭史枝さん「藁やすのこを敷くならまだしも、むき出しのコンクリート床で飼われていました。ウサギには肉球がなく、毛で覆われていないので、コンクリートでは足を痛めてしまいます。小屋も不衛生で、飲料水のペットボトルも苔だらけ。いつ変えたかもわからない水が入っていました」

江頭さんは学校側に環境の改善を求めた。しばらくして再訪したものの、改善はみられなかった。この際、教員たちは「私たちも忙しいのでできません」と釈明したという。江頭さんは譲渡することを勧めた。こうして選挙がきっかけで浮かび上がった不幸なウサギたちは、鹿児島県に住む個人に引き取られることになった。

治療せず放置も…全国各地の小学校から「保護」されるウサギたち

下半身不随の「ハルコ」

“劣悪”な環境で飼育されているウサギは、各地にいる。ウサギの飼育相談を受ける愛護団体「リバティ」によると、全国の小学校や幼稚園などの教育施設から保護されて来るウサギが相次いでいるという。白い毛の「ハルコ」は、大阪府内の小学校から引き取られた。足回りは糞便で汚れ、ただ力なく横たわっていた。何らかの大きな外力を受けたとみられ、下半身は自分で動かせない。保護団体が学校に治療を求め2か月後に再訪しても、ハルコはけがをしたままの状態だった。獣医師に診せると、骨盤の骨が折れていた。

 

リバティ・藤田敦子代表「学校に聞くと、年に2、3万円しか飼育のための予算がないらしいのです。餌も満足に買えず、治療もできず、放置するしかなかったのかもしれません」

 

痩せ細った「サツキ」

 

「サツキ」は京都府内の小学校にいた。栄養状態が極端に悪く、毛並みは悪く、痩せ細っている。人慣れしていないのか、保護しようとしてもひどく逃げまわった。ベージュの「ラブ」は京都府内にある幼稚園から引き取られた。この幼稚園では30匹ほどのウサギが一つの小屋で飼われ、近親交配が繰り返されたとみられている。その影響か「ラブ」は生まれた時から片耳だった。小屋の床はというと、先の小学校と同じく「コンクリート飼育」。足裏の毛がなくなり、別の子ウサギは足から血を流し、体を赤く染めて横たわっていたという。

 

片耳の「ラブ」(リバティ提供)

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この記事を書いたひと

植高貴寛

1984年生まれ 福岡県出身。福岡県警とRKB調査班担当。野球とゴルフと調査報道をこよなく愛している。プライベートでは娘の言いなり。

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