毎日のように聞こえていたセミの大合唱も、ここ最近は落ち着き、代わって秋の虫たちの声が聞こえてくる。残暑が厳しいため、まだまだ真夏のような感覚があるが、周りを見渡すと少しずつ秋が近づいてきている。
8月は夏の雲の入道雲(積乱雲)が空の主役で、夕立にあった人も多いかもしれない。
ただ、ここ最近の空には夏の雲に加え、上空高い所には秋を象徴するすじ雲(巻雲)や、うろこ雲(巻積雲)が見られるようになってきた。このような夏と秋、二つの季節が混じり合う空を「行き合いの空」という。この空が見られるころ、天気図上には夏の空気と秋の空気の境目にできる秋雨前線が現れる。この秋雨シーズンに注意したいのが台風だ。
「夏台風」は動きが遅く、迷走することが多いため、同じ所で影響が長引いてしまうのが特徴。まさに、今年の台風6号がそれだ。沖縄地方で長く影響をもたらした。
一方、「秋台風」は偏西風に流されやすく移動速度が速くなるので、台風自体の風に移動の速さが加わり、風が強まる傾向がある。また、秋雨前線を刺激して大雨を降らせることもあるので、気をつけなければならない。
本格的な秋の到来までもう少し。なんとかこれからの秋雨シーズンを乗り切りたい。
横尾槙哉=RKB気象予報士・防災士
毎日新聞福岡版 2023年9月9日掲載
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