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「乳がんにとらわれず、前向きに生きる」再び乳がんと向き合う女性のリアルストーリー

ニュース医療

野島裕輝

女性の9人に1人がかかるとされる“乳がん”。「もう子供を産めないかも」「妊娠できないかもしれないとパートナーに伝えられない」転移のおそれもあり、患者には強い不安がつきまといます。30代で乳がんを発症した女性は、左胸に感じた“痛み”が最初のきっかけでした。抜け毛や吐き気などの強い副作用に襲われた抗がん剤治療。そして、3年後にはリンパ節にがんが移転しているのが見つかります。再び、抗がん剤治療が始まりました。「なんでこんなに運がないのか」と情緒不安定になったこともあります。「乳がんにとらわれず、自分らしく前向きに生きる」がん治療と向き合いながら次第に胸中に強くなった感情です。

最初の“違和感”は左胸の痛み、半年後に再び襲ってきた


乳がんの早期発見や検診などを呼びかける女性は、福岡県在住の亜紀子さんです。39歳の時に乳がんを発症した亜紀子さん。いまも治療を続けながら乳がんの啓発活動に取り組んでいます。

亜紀子さん「私も乳がん患者ですけど、手術もつらいし、治療も大変なのでできればかかってほしくない。病気がわかるとすごい悲しいことになるので、早くわかった方が苦しむ度合いも小さくなります。これをきっかけに『検診とか受けよう』とか『今年は検診に行っていない』と思う方がいらっしゃれば」

亜紀子さんが最初に違和感を覚えたのは、乳がんが見つかる約9か月前に感じた左胸の痛みでした。1か月ほどで治まったものの半年後、再び痛みが襲ってきます。検査した結果、「ステージ2」の乳がんと診断されました。気持ちの整理がつけられないまま、約1か月後に腫瘍を摘出。妊娠できるよう卵子を凍結保存することを決めました。

亜紀子さん「働いていけるだろうかと凄く心配しました。まだ結婚してなくて、30代後半で頑張れば、子供が産めるかもしれないと思っていた歳でした。そういう時間を乳がんの治療に奪われてしまうのが凄く悲しかったですね。現実を突きつけられて悲しい思いをして、いっぱい泣きました」

3年後にがん移転が判明、再び抗がん剤治療の生活に


抗がん剤の治療も始めますが、今度は抜け毛や吐き気などの強い副作用に襲われます。つらい治療を続けた結果、少しずつ元の生活に戻れるようになりました。ところが、その3年後。胸の近くのリンパ節にがんが転移しているのが見つかります。状態は「ステージ4」でした。腫瘍を摘出したあと再び抗がん剤治療を選択。日常生活を送れるまでに回復しましたが、いまも副作用に悩まされています。

亜紀子さん「治療が続いても、再発なく過ごす人も多くいます。なんでこんなに運がないか、ついていないなと感じました。急にブワッと熱くなってくるホットフラッシュや、眠れなくなるとか情緒不安定になるとか、そういう心身の不調があるんですけど、一番困っている症状は関節痛が強く出ている」

現在は月に1回のペースでこの病院を訪れ、診察を受けています。

「根本的な痛みは何も消えはしないのでなかなか・・・」
「痛みはもちろん痛みとしてあるんだけど、そのしびれ感という感じはどうなの?痛みと重なるのか別個の痛みなのか?」
「足の裏のピリピリビリビリみたいな痛みはやっぱり少しある」

趣味のスキューバダイビングを楽しみながら、ほかの患者も支援


「乳がんにとらわれず、自分らしく前向きに生きる」。亜紀子さんが過酷な治療を乗り越えて抱くようになった思いです。治療の副作用はありますが、いまでも趣味の旅行やスキューバダイビングを楽しんでいます。そして、自分の経験や知識を伝えようと、若年性の乳がん患者を支援する団体のメンバーとしても活動しています。今月、開催されたのは乳がんの治療を続ける女性たちが集まったおしゃべり会です。亜紀子さんも主催者の1人として参加しました。普段は話しづらい結婚や出産についても話題にあがりました。
 


亜紀子さん「最初に自分が乳がんとわかった時に『あっもう絶対子供産めない』って思ったし、抗がん剤したら産めないよねって思っていた」
参加者「私は婚活をいまから頑張ろうかなっていう時に病気になってしまったので、まだその気持ちがあって今から頑張りたいなって」

亜紀子さんも病気のことを伝える難しさを打ち明けました。

亜紀子さん「パートナーと話すことが大事と言われたけれど、話す勇気がなくないですか乳がんのことを?」
井上さん「私はもしかしたら子供が産めないかもれませんけどっていつ言うんだとか」
参加者「こっちは抗がん剤やった、手術もやった、色んな事を経験して、めちゃめちゃ鋼のメンタルを持っているけどそうでない方と出会うから」「『私妊娠できません、できないかも』言われたら困ることは納得しました」「ここで話せる場があるから、ちょっと頑張ろうと思えるところがあります」「私だけじゃないんだと感じられました」

亜紀子さん「他の人も同じように考えていると聞けることで、自分自身も元気づけられる。他の人をまた元気づけることもできるし、こういう集まりがあるのはいいと改めて思いました。イベントを企画してもっと他の地域でも集まりができるといいですね」

同じ境遇の仲間と思いを共有することで前を向いて生きていく力をもらえると亜紀子さんは話します。

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この記事を書いたひと

野島裕輝

1990年生まれ 北海道出身。NHK仙台放送局などで約7年間記者として事件・事故や行政、東日本大震災などの取材を担当。その後、家族の事情で福岡に移住し、福岡県庁に転職。今年2月からRKBに入社。

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