今月の初めは、熊本市で最高気温30度の真夏日を観測したり、福岡市では夏日の日数が過去最多を更新したりと、各地で11月としては記録的な高温に見舞われた。
近年、夏はもちろん、春や秋の気温上昇が顕著になってきている。この影響で春には、桜の開花が早まっているとよく話題になるが、実は紅葉も影響を受けている。
気象台の生物季節観測で、イロハカエデの標本木全体が赤くなった日を「紅葉日」としている。昔と今でどんな変化があるのだろうか。福岡を例に、30年の平年値で比較してみる。
1961~90年のかえでの紅葉の平年は11月10日。ちょうど今の時期には標高の高い所はもちろん、平地でも見ごろとなっていた。
対して直近の91~2020年は12月1日。なんと、約20日も紅葉日が遅れているのだ。紅葉の色づきには朝晩の冷え込みは欠かせないため、地球温暖化による全体的な気温の上昇は原因の一つだと考えられる。また、都市化なども影響しているだろう。
このまま気温が上昇し続けると、近い将来、紅葉の見ごろがクリスマスにずれ込み、「メープルクリスマス」となってしまうかもしれない。美しい紅葉が地球の異変を知らせてくれている。
横尾槙哉=RKB気象予報士・防災士
毎日新聞福岡版 2023年11月11日掲載
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