皆さん、啜ってますか?
好評連載中の「福岡ラーメン愛が止まらない」。今回は絶対に!食べたほうがいいバリうまの“醤油ラーメン”を紹介します。ご存知のように、福岡にもいわゆる非豚骨の名店はたくさんありますが、本記事の主役「らぁ麺 稲田」の醤油ラーメンはコンセプト、味の方向性ともユニーク。豚骨でないけれども“ご当地”を帯び「来福した観光客や外国人も目がけて食べに行きたい“醤油”ラーメン」となっているのも興味深いポイントです。
美野島商店街の一角で現在、土・日曜の10:00~14:30のみの営業。週末、天神界隈でのショッピングを楽しむ前、また福岡市内に宿泊された方もチェックアウト後の予定に組み込んで欲しい穴場的店。僕自身、同店がオープンした2022年以来の訪麺となりましたが、驚くほど美味なる一杯へと“深化”していたので胸を張りプッシュします。
最初に。「らぁ麺稲田」で食べるには当日、店先に掲げられたウェイティングリスト(下写真)に記入することがマストになります。営業開始の10:00から30分刻みになっている定員枠の空いているところに名前を書き、オンタイムで再度来店するというシステム。早い人は7:00ごろには記入するそう。美野島界隈のゲストハウスに宿泊した外国人の利用も多く、オープン前に全席が埋まることもあるので早めの来店をおすすめします。営業日も事前に公式Instagramで確認しておくと安心ですね。
「らぁ麺稲田」の店主は福島大将(ふくしま・だいすけ、下写真)さんと恵子(けいこ)さん夫婦。土・日曜はラーメン店、平日は渡辺通・サンセルコにある姉妹店「豚マニア丼 稲田屋」で腕を振るっています。大将さんはもと洋食シェフで、故郷の宮崎で幼少期から親しんでいた祖母手作りの我が家の焼肉ソースを「肉マニアソース」として商品化。自慢のソースありきで2016年に出店したのが「豚マニア丼 稲田屋」。そして、研究熱心な大将さんがもうひとつの“好き”であるラーメンにも本気で向き合い2022年1月に開業したのが「らぁ麺 稲田」です。
開業当初のラーメンから、スープの取り方、具材などのビジュアルもより高みを目指しブラッシュアップしてきましたが、一貫して掲げているのが“出汁甘醤油らぁ麺”と総称する意欲的なジャンル。そう、同店のスープは甘いんです。ただし、甘ったるいとか、もわんとした甘さではなく、緻密な計算が施され、多彩な出汁と絶妙なハーモニーを奏でる心地よい甘さ。僕的には「甘さを極めし洗練醤油ラーメン」と称したいと思っています。キーとなるこの“甘さ”“出汁”に関しては、先に挙げた「肉マニアソース」を大将さんが開発する過程で各地の醤油に対して理解を深めた経験、また「豚マニア丼 稲田屋」で締めにかけて楽しんでもらうため丁寧に取っていた“出汁”の美学も息づいています。
ラーメンのメニューは、かえし(醤油ダレ)の配合などで濃さを変えた「あごだし鶏らぁ麺〈薄口〉」と「あごだし鶏らぁ麺〈濃口〉」の2種。デフォルト(各950円)でも、宮崎・観音池ポークの肩ロースを使った“燻”香る窯焼きチャーシューに、低温調理のバラチャーシュー、皮がびろんと幅広で、ショウガが香る肉肉しい具が入ったワンタン、生麩などにぎやかな具(上写真は〈濃口〉の煮玉子追加+100円)。伊万里焼の華やかな器も特別感ありますね。
スープは平戸産焼きあご、かつお、まぐろ節などの魚介+博多地鶏などの鶏+豚骨。一般的に、複数の素材を1つの寸胴に時間差で投入して炊き上げるのを「一本炊き」、魚介と肉系を別鍋で取った後に合わせる手法を「ダブルスープ」と呼びます。同店においては、肉系ダシの鶏と豚も別々に取っているため、いわば「トリプルスープ」。素材の特性を見極めながら旨味、香りが花開くピュアなスープをそれぞれで仕込み、当日に黄金比で合わせる。それが大将さんがたどり着いたやり方です。
良質な鶏油も程よいパンチをプラス。要となる醤油は、福岡県産醤油、岐阜県のたまり醤油、愛知県の白醤油などをブレンドして使っています。出汁と醤油が織り成す奥深いコク、そして滋味深い甘味が溶け合いクセになるうまさ。確かに“甘い”んですが、“出汁感”との調和が本当にすばらしくグビグビと飲みたくなります。レンゲですくう手が止まらなくなりますね。
そのほか、麺も、ワンタンの皮までも自家製にこだわっています。オープン当初は小型の手動製麺機から打ち始めましたが、客数がグンとのびた現在は「豚マニア丼 稲田屋」に新たな製麺機を設置。ヒキ、コシを際立たせるために2、3日熟成させるのもこだわりです。
メニュー表に書かれていたおすすめの食べ方を試してみました。
「ご飯」(100円)も一緒に頼み、白飯の上に具材のチャーシューなどをオン。卓上の「肉マニアソース」、ラーメンスープをかけていただきます。
これが、むちゃくちゃおいしい! 最高!! このソースはあくまでラーメン以外に使うものですが、肉だけでなくきっとあらゆる食材に合うでしょう。あまりに気に入ったので、持ち帰り用のソースを1本ゲットして帰りました。
久しぶりに食べに行った「らぁ麺 稲田」は以前よりも数段レベルアップしていました。そして営業する毎週土・日曜を楽しみにしている常連客、九州外からの観光客、外国人客と幅広い客層をみて“甘出汁”の醤油ラーメンは全国、世界で通用する味であることを確信しました。ぜひ食べに行ってみてください。
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