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老舗洋食店「エプロンママ名島店」を脱サラして引き継いだ大田さん夫妻

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福岡市東区千早のショッピングビルの地下にあった「エプロンママ」という食堂をご存じだろうか。安くてボリュームがあって美味しい店として人気だったが、入居していたビルが解体されることになり一時閉店後、東区名島に「エプロンママ名島店」として移転して営業されていた。

現在は、先代オーナーの後を継ぎ、大田孝之さんと絵理佳さんの夫妻が店を切り盛りしている。最近、ちょくちょくお邪魔しているので、先代からどういう経緯で店を引き継いだのかなど、大田さんの「エプロンママ」に対する想いを聞いてみた。

エプロンママの歴史

まずは先代オーナーである吉塚さんが創業されてからの「エプロンママ」の歴史を簡単にまとめてみた。

1991年アピロス香椎にてお好み焼き店「なんば」を営業開始
2001年にダイエー香椎に移転して定食の店「吉乃屋」として営業開始
2006年ビックマートビル(ヤマダ電機)地下1階に移転して「エプロンママ」を営業開始。2020年12月ビル解体のため一旦閉店
2020年1月に新型コロナ感染症が国内で最初に確認され、コロナ禍に突入
2022年2月に東区名島にて「エプロンママ名島店」として復活
一方、2022年7月には吉塚さんの息子さんが千早のみゆき通りにて「エプロンママ千早店」として弁当テイクアウトの店を開業されている。
そして、2023年夏から大田さんが「エプロンママ名島店」にて修業開始
2024年1月 大田さん夫妻が吉塚さんから事業継承し新オーナーとして営業開始

大田孝之さんと「エプロンママ」の出会い

「エプロンママ名島店」の現オーナーの大田孝之さんと「エプロンママ」の出会いはいつだったのだろうか。

「実は、中学卒業後に先代の吉塚さんの最初の店である『なんば』でアルバイトをしていたんですよ!」。孝之さんは、高校には行かずにアルバイトをしながらハードロックのバンド活動ばかりしていたそうだ。「そんな時に知り合いの紹介で『なんば』で働かせてもらうようになり、2年間しっかりお世話になりました」という。

「なんば」でバイト時代の孝之さん(左)と吉塚オーナー(右)

その後、孝之さんは憧れていたトラックドライバーの職に就き、二十数年間大型トラックに乗っていたそうだ。妻の絵理佳さんとは、勤めていた運送会社の同僚として知り合いその後結婚。結婚してからはご飯作りは孝之さんが担当した。調理することは昔から大好きだったそうだ。

「43歳の頃、トラックドライバーの仕事を辞めることを考えてたんです。そんな時に先代の吉塚さんに数年ぶりに会いに行ったんです。調理の勉強をしていつか飲食店を持ってみたいんです、みたいな話をしたら、『タカ、それやったら、俺の店を継いだらいいやんか。どうするか?するか?』とすごい勢いで言われたんです。最初は『え~~~~!!』と思いました。当然素人だし自分に出来るか不安もありましたから」

「それでも決断したんですね?」

「妻も、こんなチャンスないよ!!こんなタイミングで店持てる話をいただくなんて宝くじに当たるくらいすごいよ!!車を買ったと思ってやってみようよ!!と後押ししてくれたので、すぐに決断できました」と孝之さん。絵理佳さん、すごいわ。

運送会社を正式に退職した孝之さんは、2023年夏から約半年間、先代の元で調理修業に入った。とにかく、何もかも初めてだった孝之さん。先代の味を受け継ぐために一生懸命の半年間だったそうだ。

新生「エプロンママ名島店」誕生

修業を終えて2024年1月1日、孝之さんと絵理佳さんの「エプロンママ名島店」がスタートした。調理は孝之さん、接客は絵理佳さんが担当。

「今までのお客さんにダメ出しされないように、そして看板に泥を塗らないようにと、毎日ドキドキでした。時には『前の大将のほうが美味しかったな』と言われることもありました。しかしそのプレッシャーをバネにして頑張ろうと思いました」と孝之さん。

「メニューも味も基本的には先代のものを踏襲したんですよね?」

「そうですね。レシピもそのままに30種類くらいのメニュー数も減らさずスタートしました。2年経ったくらいから、少しずつ自分のアイデアも取り入れてレシピを変えているものもあります」と孝之さん。

人気メニューは、ハンバーグ、とんかつ、チキン南蛮、海老フライ、そしてカレーだという。先代の頃から店名の前に「手ごねハンバーグ&挟みトンカツの店」というタイトルをつけているほど、フワフワのハンバーグとサクサクのとんかつは人気のようだ。

ハンバーグと海老フライ定食1,480円、モッツァレラチーズ挟みトンカツ定食1,230円(共にご飯、味噌汁、漬物付き)

カレーについては開業後に孝之さんのオリジナルとしてメニューに追加したそうだ。

「カレーは、自分がゼロから作ったので自分の味をより伝えられるメニューになっています。玉ねぎ、人参、セロリ、キャベツ、トマト、リンゴなどをたくさん使って牛スネ肉がとけ込むまで10時間以上煮込んで、トータル20時間かけて作っています」と孝之さん。野菜の甘みがしっかりとして辛みを抑えたカレーソースは揚げ物にピッタリで大人から子供まで美味しく食べられる仕上がりになっている。

チキン南蛮カレー(サラダ、味噌汁、福神漬け付き)

メニュー紹介

メニューはランチタイムは日替わりランチもあり。昼も夜も選びきれないほどの種類の多さだ。これを2人で切り盛りしているというからびっくりする。

最後に

孝之さんは音楽と調理についてこう話す。
「バンド活動は29歳頃までやっていました。メンバーの一人とは今でも親友として付き合っていますし、自分の人生の中でも音楽活動はとても意味があるモノだったと思っています。調理に関しても音楽の影響を受けている気がするんです。楽譜に音を重ねていって一つの音楽を創り上げるような感覚は、調理で下処理して味を重ねていきながら完成させるイメージに近いものがあります。だから調理が好きなんだと思います」

そんな孝之さんが作る料理に絵理佳さんは「あくまでも家庭の味で良いからとにかく一生懸命作ろうねと言ってます。普通に美味しいのが一番と思ってやってます」という。

まさに「エプロンママ名島店」は普通に美味しい家庭の味かもしれない。しかし、この普通に美味しい家庭の味を自宅で作るというのは、今の忙しい時代には手間も暇もコストもかかるだろう。そんな時に「エプロンママ名島店」のような店は、地元の人たちにとても有難い食堂として喜ばれているはずだ。今夜もサラリーマンの一人客や子供連れの家族など幅広い客層で賑わっていた。

とにかく一生懸命に調理する孝之さん、そして笑顔で接客する絵理佳さん夫妻。孝之さんは「妻の明るい接客があってこそのこの店なんです」と言い、絵理佳さんはとにかく孝之さんの頑張りをリスペクトしながら応援する。その2人の姿がそのまんま店の雰囲気となってお客さんを優しく迎え入れてくれる。

僕が「エプロンママ名島店」に来るようになってまだ日も浅いが、この2人の頑張りをみて、是非皆さんに改めて紹介したいと思ったのが素直な気持ちだ。笑顔で明るく一生懸命真面目に頑張る人、そんな人を周りは応援したくなる。「エプロンママ名島店」はまさにそんな店だと思う。

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この記事を書いたひと

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