熊本県八代市の高原木材。120年以上、木の可能性を拡げてきた。
得意とするのは、丸太をまっすぐな円柱に仕上げる「円柱材」の加工。その原点は、炭鉱の落盤を防ぐために使われた「坑木」だった。炭鉱が減少すると、坑木に代わる丸太の使い道を広げ、円柱加工の技術を磨いてきた。
その技術が生かされたのが、去年の大阪・関西万博。ウズベキスタンパビリオンでは、9府県から集められた性質の異なる杉を加工。硬さや節の違う丸太を、短い工期で仕上げ、最大8メートルの円柱が林立する木造建築を実現した。
そして今、丸太は住宅の地盤へ。セメントを固めた円柱材に代わり、地元産の丸太を打ち込む「環境パイル工法」だ。木を地中に打ち込んで、本当に腐らないのか?住宅を支えるだけの強さはあるのか?さらに、施工の速さや二酸化炭素の削減など、木ならではのメリットもあるという。
木の使い道は、それだけではない。自然災害への備えとなる「杭柵工」、世界情勢の変化によるナフサ不足の中、注目を集める、端材から生まれた木の緩衝材「MOKUMO」。捨てられていた木にも、新たな価値を生む。
地中へ、防災へ、そして新たな素材へ。時代とともに木をアップデートし続ける、高原木材を追った。
<取材先データ>
高原木材
担当者:石松真吾さん
住所:熊本県八代市新港町3丁目 2-14
電話:0965-37-2800
HP:https://www.takahara-wood.com/
取材後記
高原木材は“円い木柱の加工を得意とする会社”。ぱっと聞くと、そのすごさはなかなかピンときませんでした。しかし、改めて周囲を見ると、建築材として使われているのは四角い角材ばかり。円い木材は実は珍しいことに気づかされました。
高原木材のルーツは炭坑で使われていた、丸太の”坑木”です。かつて、坑木を扱う会社は八代市だけでも二十社近くあったそうですが、昭和後期、炭坑が消えゆくにつれて、ほかの会社も姿を消していきました。そうした時代の流れに逆らうように自分の道を切り開いてきた高原木材。その技術は万博という世界の舞台に繋がり、環境問題など、社会の課題にも応えています。
社会情勢が目まぐるしく変わっていく今、時代の流れに乗るのか、それとも、自分の道を貫くのか。きっと正解のない問いですが、時代に取り残されたように見えるものが次の時代に必要とされることもある。丸太にこだわり続けた高原木材の歩みにそんな可能性を感じました。
(RKK熊本放送 / 宮崎貴司)
この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう
























