【R調査班】ガードレールの端「袖ビーム」盗難400枚超 上毛町と豊前市など 福岡

ガードレールの端の部分は「袖ビーム」と呼ばれていますが、福岡県上毛町と豊前市などで、この「袖ビーム」があわせて400枚以上盗まれています。全国で相次ぐ金属の盗難事件、背景を取材しました。

福岡県上毛町の林道です。ガードレールをひとつひとつ丁寧に見ていくと、端の部分がなくなっているのがわかります。

RKB黒木秀弥「ここもないですね・・・しばらく歩きましたが、ここもないです」

なくなっていたのは、端に取り付けられていた部品で「袖ビーム」と呼ばれています。車が衝突した際に、衝撃を和らげる重要な役割を持っています。

RKB黒木秀弥「こちらが袖ビームです。丸みを帯びているのが特徴です。実際に持ってみますと、かなり重いです。1人で取り外すのは難しい印象です」

1枚あたりの重さは約6.5キロ。一度に何枚も持ち運ぶには、かなりの力がいります。大量の「袖ビーム」が盗まれた今回の事件、実は目撃者がいました。

目撃した男性「上に背の高い人がいて、下に低い人がいた。ちょっとこっちを見たような感じはした」

今年4月、男性はガードレールのそばで、不審な動きをしていた2人組に遭遇、2人が車で走り去った後、ガードレールを見ると「袖ビーム」がなくなっていたと言います。

目撃した男性「そのまま車に載せて、向こうに走り去った」

男性からの通報を受け、上毛町や隣接する豊前市などが林道をくまなく調査したところ、あわせて408枚の「袖ビーム」の盗難が発覚したのです。

上毛町の担当職員「3月にも検査をしたんですが、被害は確認されていなかったので、私としても驚きはあった」

同様の被害は、関東地方でも起きていました。去年末から今年にかけて、千葉県や茨城県などであわせて200枚以上が盗まれました。
また、大分県で今年2月、「グレーチング」と呼ばれる鉄製の側溝のふた80枚以上がなくなっています。事件の背景には、鉄の価格高騰があるようです。

日本鉄リサイクル工業会 乗田佐喜夫専務理事「値下がりした要因がコロナの感染による先行き不安だったが、製造業を中心に鉄の需要が回復してきた。需要回復に比べ、スクラップ回収の回復が遅れて、おととしの夏ごろから上昇基調を深めて、それが現在も続いている」

九州圏での鉄スクラップの平均価格を示したグラフです。おととし4月は、1トンあたり1万7500円だったのが、今年4月は6万5500円と4倍近くにまではね上がっています。銅やアルミなども軒並み価格が上昇している中で、なぜ、鉄ばかりが狙われるのでしょうか。

日本鉄リサイクル工業会 乗田佐喜夫専務理事「やはり使われているところが多いと。例えば、ガードレールは主要道路にはだいたいついていますよね。比較的手をつけやすいのではないかと」

では、犯人グループは盗んだガードレールを、どういうルートで売りさばいているのでしょうか。

直方市にある鉄スクラップの買い取り業者です。

福岡金属興業 横溝淳弥社長「産業廃棄物の管理表、通称マニフェストというものです」

ガードレールなど公共物を取り引きする際には、「マニフェスト」と呼ばれる管理票に業者の名前や廃棄物の種類などについて、詳細に記載する仕組みになっています。このため、正規のルートで売りさばくことは不可能で、これまでに盗品が持ち込まれた例もないということです。

福岡金属興業 横溝淳弥社長「袖ビームだけじゃなくて、公共の工事から出そうな廃棄物が出た場合は、いちいち疑えないのは事実かもしれません。客の様子とか状況を、我々がプロとして一つ一つ判断していくのが実態。想像としては、我々がとっている適正ではない形で、流通が行われている可能性は否めない」

今回、被害にあった自治体は、盗難への対策として「袖ビーム」とガードレール本体を溶接するなどの方法を考えていますが・・・

寿陽建設 近藤幸穂社長「基本的に、事故とかあって壊れた場合の修理を迅速にするために、簡単な取り外しができるようになっているので、正直、絶対に取られないようにするには溶接しかないんですけど、メンテナンスがしにくくなる、費用がかかってしまう」

ドライバーの安全を守るために、大切な税金を使って設置されているガードレール。盗まれることは前提としていません。被害額は、少なくとも100万円を超えるとみられ、警察が、犯人グループの行方を追っています。

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