立川生志 金サイト

金曜 6:30
新型コロナの経済対策「ゼロゼロ融資」が今後招く“副反応”

新型コロナの経済対策「ゼロゼロ融資」が今後招く“副反応”

新型コロナウイルスの感染者数はほぼ右肩下がりになり、外国人観光客の受け入れも始まった。経済活動は、ようやくコロナ前に戻りつつあるが、逆に、これまで国のコロナ支援で何とかやってきたところは借金の返済が始まるという厳しい現実もある。RKBラジオ『立川生志 金サイト』に出演した、潟永秀一郎・元サンデー毎日編集長は返済がピークを迎える「ゼロゼロ融資」の“副反応”に警戒をしている。

 

貸出総額56兆円!「ゼロゼロ融資」とは?

「ゼロゼロ」とは、利子がゼロ、担保もゼロ、つまり「無利子・無担保融資」のことで、コロナ禍で経営が厳しくなった中小企業の支援策として、政府がおととしの春に始め、民間金融機関での受付は今年3月で終わりました。

 

ゼロゼロの仕組みは、利子は都道府県が負担し、担保は「信用保証協会」が保証します。ただ、どちらも国が財政的な裏付け=つまり、最終的に国費で面倒を見る仕組みです。融資の上限は6000万円、利子の猶予期間は最大3年間。借りる側にとって、こんないい話はありませんから、当然ながら申請が殺到しました。

 

結果、この2年間で、貸出総額はい56兆円!国の予算の半分近くです。でも、この融資のおかげで、コロナ禍で売り上げが激減した多くの中小企業が倒産をまぬかれ、再起を期すことができたのも事実です。それはデータにも現れていて、東京商工リサーチによると、2021年、負債額1,000万円以上の企業倒産件数は6,030件。バブル絶頂期の1990年より少なく、過去50年で最少になりました。

貸し手も“蜜”に群がった~3つの問題点

ただ、緊急対応はスピードを求める結果、どうしても「ひずみ」が生まれます。毎日新聞の連載「見えない予算」では、三つの問題を指摘しています。

 

一つは、審査の甘さです。事業資金を借りた経験がある方ならお分かりだと思いますが、通常、金融機関は経営状況や資産、今後の事業計画など事細かに審査し、融資を受けられてもさまざまな条件が付けられるなど、そう簡単ではありません。

 

ところが今回のゼロゼロ融資は、借り手だけでなく、貸し手の金融機関にとっても、とても「おいしい」案件でした。利子は都道府県が確実に払ってくれるし、返済が焦げ付いても信用保証協会が肩代わりしてくれる。貸し手にとっても、「リスク・ゼロゼロ融資」だからです。当初は政府系金融機関だけで取り扱う予定が、申請が殺到したため、民間の金融機関でも受けられるようになり、ここから貸出額は一気に拡大しました。

 

背景にあったのが、日銀による大規模な金融緩和です。長く超低金利時代が続いて、利息収入が減り、地方銀行ではおととし、半数近くが赤字決算に陥りました。そこへ、この制度です。「一件でも多く融資しようと、普段つきあいのない企業にまで声をかけた。うちだけじゃない。みんなだ」。ある地銀の幹部は毎日新聞の取材に答えました。

 

記事は、こう続きます。

融資実績を上げようとすれば、その分、審査は甘くなる。九州に本店を置く信用金庫の融資担当者は「普通であれば、絶対に融資対象にならないほど業績が悪化した企業にも融資を実行した」と話す――。

貸し手も“蜜”に群がったわけです。

 

次の問題点は、融資の不適切利用、借り手の問題です。ゼロゼロ融資の使途は、当座の運転資金と、コロナ対策のための設備投資に限られています。でもこの規模ですから、チェックは行き届きません。「見えない予算」で取材に応じた関西地方の経営者は、地元の銀行から上限の6,000万円を借りて、このうち1,000万円以上を、別の信用金庫から借りていた借金の返済に回したと明かしました。つまり、本来この会社が支払うべき利子が、「ゼロゼロ融資」に置き換えることで、税金から支払われるわけです。

 

残る三つ目の問題点は、既に始まっている融資の返済です。日本政策金融公庫によると、昨年末時点で取引先の6割近くでゼロゼロ融資の元本返済が始まっていて、東京商工リサーチの4月の調査では、中小企業の3分の1が「過剰債務」=借金が大きすぎる=と感じていると回答しています。

 

政府は金融機関に対して、こうした企業にも積極的に対応するよう要請していますが、ある金融機関の融資担当者は毎日新聞の取材に「どこも不良債権は抱えたくない。融資の審査はゼロゼロとは比べものにならないほど厳しくなる」と明かしました。実際、帝国データバンクによると、3月のコロナ関連倒産は221件を数え、初めて200件を超えました。手のひら返しと言うか、なんだか『半沢直樹』みたいな話ですね。

“延命のためのチューブ”が外れたらどうなる?

最後に、国が「コロナ関連」とした予算は昨年度だけで実に77兆円。しかも、その財源のほとんどは国債=借金で、次世代にツケを回した形です。ある信用調査機関の友人は「ゼロゼロや持続化給付金だけでなく、各種給付金や補助金など、点滴のチューブだらけで延命した企業は少なくない。そこへ、この円安や物価高。チューブが全部外れた時、どうなるのか。私はコロナ後のほうが怖い」と話しています。同感です。

 

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2022.12.02
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