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木曽~中山道の宿場町~

暮らし

まずは、木曽福島宿。古い町並みが残る“上の段”という地区を地元ガイドの蓑原悦子さんに案内してもらいました。

この木曽福島宿は、京まで68里、江戸まで69里、とちょうど中山道の真ん中。しかも一番谷が狭い地域。よって、関所が置かれていた場所だったそうです。東海道の関所はみなさんご存知の箱根、ですが、中山道はこの木曽福島だったんですねえ。初耳。また宿場の入り口は直角に2ヶ所曲げられた「鍵の手」状になっている上、急な坂、また道幅も狭いという、すんなり通れない造りになっています。ちなみにこういった「枡形」などの防衛上の工夫は宿場町の西側に設けられているそうで、「徳川家康は天下を取って幕府を開いたけれども、西から毛利や細川などの大大名が攻めてくるのを恐れていたのかも」とおっしゃってました。また、この上の段地区には、“上の段用水”といわれる水道があります。戦国時代、ここが、木曽義仲から数えて19代目の木曽義昌の上の段城の城郭内だったため、城造りの時に上流から水を引いて造られたのがそのまま残っているものです。400年以上の時を越えて流れ続けているのだそうですよ。
木曽福島宿→ http://www.kankou-kiso.com/rekishi/index.html

また木曽福島は木曽漆器の発祥の地のひとつでもあるそうです。1860年(万栄元年)創業の「よし彦」の加藤真和さんにお話を伺いました。( よし彦→ http://www.urusi.com/ )
漆といえば、「つややかな黒や赤にキラキラの絵」という先入観を持っていた私。茶色に木目が透けて見える色合いのおひつにびっくり!生の漆をすり込んでいくことで、木地のままだと汚れたり長く使えなかったりするのを防げるのだそう。木曽の良質の木材の風合いを生かせる方法ですよねえ。「“素朴で、日常雑器”が木曽漆器の発祥なんですよ」という加藤さんの言葉に納得です。もちろん艶やかな漆器もありますから、ご安心を!っていうか、これもまた美しいんです~。「これで木曽のお酒を飲んだら、さぞおいしかろう」と思える片口に心を奪われた同行スタッフ。ウン万円の値札を前に、こぶしを握り締めて我慢してました。漆器というとお高いイメージでしたが、手ごろなものだと、お箸一膳170円からあるんですよ。私はお箸を購入。木曽ひのきのお箸って、すんごく軽くてはさみ具合がいいんですよ。おすすめです。「ひのきやトチ、ケヤキの木の風合いを生かしつつ素材の質感の一番いい形を引き出すのが仕事。木曽のいい材料を一番いい使い方で生かしていくんです。」という加藤さん。次は、お椀を買いに行きたいです!

そしてもう一ヶ所。日本一といわれる規模の奈良井宿( http://www.naraijyuku.com/ )。江戸時代、木曽十一宿の中でも最も賑わっていたという宿場町です。木曽ひのきでできた橋を渡り、宿場内に入ると東西に1kmほどの長さに300軒くらいの街並みが続きます。格子やうだつなど、江戸後期の建物がかもし出す雰囲気は格別ですし、江戸時代から続く水場も残っています。

お話をうかがった奈良井宿観光協会会長の永井康宏さんの家は「越後屋」という味処。ざるそばと五平餅(奈良井宿は丸い型)の定食でお腹いっぱい木曽を味わいました。そして、奥の方までお店を見せてくださいます。間口が狭く奥行きの長い町家造りで、通路があって店、店座敷、お勝手、奥座敷という間取りが基本なのだそう。越後屋は江戸時代は塗り櫛などを作っていた漆職人さんだったそうで、表に看板として掲げてある器は、当時使われていた道具であり家宝だとおっしゃってました。のんびり時間を取って歩きたい街並み。ぜひ季節のいい時にお出かけください。ああ、いつか中山道を歩く旅をしてみたい…

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