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穂高神社

20年に一度行われる御遷宮で、今年5月に本殿が新しく建て替えられた穂高神社。しかも拝殿は、昨年末に127年ぶりに建て替えられました。木曽ひのきとケヤキの香り立つ真新しいお宮は、より背筋がしゃんと伸びる空気に満たされています。実は、この穂高神社、福岡と密接な関係にあるんです!お話を権宮司の穂高光雄さんに伺いました。

安曇野の地名とともに海人族・安曇族にゆかりが深いとされる、この穂高神社の御祭神は海の神様=穂高見命(ほたかみのみこと)。この神様の親が綿津見命(わたつみのみこと)で、福岡市東区の志賀海神社(しかうみじんじゃ)の御祭神です。この志賀海神社の宮司さんは代々「阿曇(あづみ)さん」。実は、古代、安曇族の本拠地は福岡。今の東区志賀島あたりを中心に、玄界灘、対馬海峡、朝鮮半島までを自由に行き交っていた海の民だったそうですよ。その安曇族が時を経て信州へ移動して行ったのです。今は安曇野と東区の子供たちが、一年おきに相手方を訪ねて交流が行われています。「不思議だけど、他にも共通点や海とのつながりがあるんですよ」と、おっしゃってました。
(1)おきゅうとを食べる!
博多の朝ごはんの友とでもいうべき「おきゅうと」。エゴノリを乾燥させ、煮詰めて漉して固めて薄く延ばした…ご存じない方には「平ぺったいところてん」みたいな食べ物だと思っていただければいいかな?…この食べ物が、遠く離れた信州で、主に夏、お祭りの時に必ず食べるのだそうです。信州では、「おきゅうと」とは言わず「エゴ」「イゴ」などと呼ばれます。新潟から安曇野までが「エゴ」食エリア。少し北の大町では「イゴ祭り」があるとか。
(2)山の中なのに「御船祭(おふねまつり)」
9月27日の御船祭では、町内から氏子の曳く大人船2艘と子供船3艘が引き出されます。大人船の大きさが長さ12m、高さ6m。これだけで、川ではなく海の船のイメージだということがわかります。クライマックスでは2艘の大人船をぶつけ合います。この御船の舞台部分には、時代絵巻を思わせる穂高人形が飾り付けられ、船体の前部には男腹(おばら)、後部には女腹(めばら)と言われる膨らみが付けられます。男腹・女腹部分には晴れ着がかけられ、その持ち主は1年間無病息災と言われます。この御船、車輪のついた土台部分だけは毎年使いますが、人形や腹部分は毎年新しく作ります。何だか、博多・櫛田神社の祇園山笠に似てませんか?
(3)海人族の名残りか「穂高造」
本殿の造りに注目しましょう。三角屋根のラインをてっぺんの交差を越えて延ばしてクロスしている木、それが千木(ちぎ)。屋根の棟(てっぺんのライン)に並んで置かれるのが勝男木(かつおぎ)。普通は、てっぺんのラインにクロスするように=直角に短い丸太状の木が数本並べられますが、穂高神社は違うんです。棟の真上=てっぺんのライン上に、棟の中央部分から左右に向かってやや角度を上げて、ゆるいVの字型に伸びています。これが「穂高造」といって、他のどこにもない造りなのだそうですよ。海人族の表れとでも言いましょうか、「釣竿を差しかけた形だ」とか「船のオールだ」とか、海に関する諸説があるそうです。

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(4) 「ほだか」じゃないよ、「ほたか」だよ。
これは中島の勝手な意見ですが、神社名も、社家である権宮司の穂高さんも、読みは濁らず「ほたか」。「中島=なかしま」「高田=たかた」「田島=たしま」など、濁らない読みが多い九州(西日本エリア)の流れっぽくないですか?
さて、この穂高神社。この安曇野にあるのは本宮。奥宮は、上高地の明神池のそばにあります。そしてさらに!嶺宮が!場所は北アルプスで一番高い穂高連峰の奥穂高。標高3190mでございます。本宮・奥宮はお参りしたけど、嶺宮までは…一生無理かも…(涙)。でも、7年に一度、神職と氏子総代、そして一般参加希望者で、お参りのため登るそうです。涸沢で泊まって日の出とともに嶺宮に向かって出発する、本気の山登り。初心者でも大丈夫だそうなので、山好きの方、いかがですか?
● 穂高神社 → http://www.hotakajinja.com/

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