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世界を射程!トイレ革命

昨年、世界遺産に登録された富士山。実は10数年前まで、山小屋などのトイレでは「し尿」を溜めておき登山シーズン終了後に「垂れ流す」という方法がとられており、環境面で大きな課題となっていた。その状況を一変させたのが、し尿を燃焼して処理をするトイレ「ミカレット」である。1000回使用しても出る灰は、わずか数100グラムという、処理能力に優れた「ミカレット」が年間約30万人の登山客が利用する富士山の「トイレ問題」を解決して、世界遺産登録への大きな後押しとなったのだ。製作するのは、大分県大分市にある「株式会社ミカサ」という従業員8人の小さな会社だが、社長の三笠大志さん(35)は、「やるからには日本の美しい自然を守るために」という志でトイレの開発に取り組んでいる。

そして、燃焼式トイレの次に手掛けたのが、微生物の力でし尿を分解して処理をする、「バイオトイレ」だ。さらにソーラーパネルを組合わせることで、燃料や電気、水道のない場所にも設置可能な「完全独立型トイレ」の開発にも成功した。

発展途上国をはじめ、トイレは世界中に需要があると考える三笠さん。大分から富士山、そして世界へ。歩みを止めないミカサのトイレ革命に迫る!
<取材先データ>
株式会社ミカサ
〒870-0923 大分県大分市高城西町7-27
TEL:097-551-8826
FAX:097-551-8886
その他の情報 http://mikalet.jp/company/

取材後記

2泊3日で行った今回の富士山取材。初日は「ミカサ」の社長、三笠さんに同行して6合目への大分産のトイレ「ミカレット」設置シーンを撮影しました。

大分で作られたトイレが、ブルドーザーで富士山を登ってくるのは、なんとも不思議というか面白い光景で、大分県人としてはとても誇らしい気持ちにもなりました。天気にも恵まれトイレの設置も撮影も順調に終わり迎えた2日目は、曇り空の中、朝7時から山頂を目指して登山。8合目の山小屋に設置されている「ミカレット」を取材しつつ自分も利用させて頂きました(笑)。その後、運動不足の私には非常に過酷な道程で、同行したカメラマンに100メートルほど離されながらも午後2時頃なんとか山頂までたどり着きました。

山頂の景色は・・・。見渡す限り雲で、何も見えませんでした。
ミカレットのトイレ建屋の映像も、寒々しくなり残念でしたが、実際に登山をしてみて、やはり、富士山登山にはトイレは欠かせないものだということが身にしみて分かり、改めて、垂れ流しではなく自己処理できる「ミカレット」って凄いと感じることができました。そして、今、トイレの整備は、世界的にも重要な課題となっています。社長の三笠さんは、今年末のペルーへの納品を足掛かりに、世界の発展途上国などへのトイレの設置も考えています。
大分の企業「ミカサ」の活躍は今後も目が離せません。

担当 OBS 大分放送 伊東 武紀

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