突然ですが、みなさんの知っているオランダの風景を想像してみてください。
まず浮かぶのは、大きな風車に色とりどりのチューリップが映える景色でしょうか?その次に思い描くのは…美しい運河が流れる街並みでしょうか。
風車に運河。オランダはまさに水の国です。ネーデルラントという国名が「低地の国」を意味するように、国土の4分の1は海抜0メートル以下。運河も地面より高いところを流れているほどです。
今回は、そんなオランダだからこそ生まれた「新たな住まいの形」をご紹介します。
まず浮かぶのは、大きな風車に色とりどりのチューリップが映える景色でしょうか?その次に思い描くのは…美しい運河が流れる街並みでしょうか。
風車に運河。オランダはまさに水の国です。ネーデルラントという国名が「低地の国」を意味するように、国土の4分の1は海抜0メートル以下。運河も地面より高いところを流れているほどです。
今回は、そんなオランダだからこそ生まれた「新たな住まいの形」をご紹介します。
「水の都」とうたわれる首都・アムステルダムの一角。
一見何の変哲もない現代的な家に見えますが、その基礎部分に目をやると…なんと建っているのは運河の上!ここにはおよそ60世帯が暮らしています。
家の中は一般的な住宅と変わらない空間ですが、バルコニーに出てみると水面が近い!船着き場のようなスペースもあり、夏にはここから運河に飛び込み、水遊びもします。
実際住んでみると、船の上に建っているようなものなので常にバランスをとる必要があるそう。物を1か所に集中して置くと傾いてしまったり、シャワーの水も日によって流れる方向が変わったりします。
そして気になるのが家の建て方ですよね。実は、運河の上で建築作業をするわけではなく、まず陸で家を完成させ、それを船で運んできて桟橋に固定していくんです!
うーん面白い!
これらは『SCHOON SCHIP(スクーンシップ)』という企画で建設された家。「クリーンな船」という意味の浮遊型住宅で、実際にとてもクリーンな都市開発の方法ということですが…?
その秘密は水面の下、 まさに水中にある地下室に隠されていました。たくさんの管や機器が並ぶテクニカルルームです。
スクーンシップでは、どの家も太陽光発電やヒートポンプ(大気中の熱を集めてエネルギーとして利用する技術)を導入しており、蓄えた電力はコミュニティ全体で分け合って使っているんです。そのため電力自給率はなんと100%!
例えば家の中の温度調節も、運河の水を利用して暖めたり冷やしたりと、言うなればサステナブルなエアコン。5~6年で設備投資分の費用が回収できるため、それ以降の電気代は実質タダになります。
環境に優しくまさに理想的な暮らし方ですが、プロジェクトがスタートしたのは10年ほど前。その頃は運河に家を建てるなど前例がなく、法律でも認められていませんでした。
企画メンバーのマタイン・ポールさんは、プロジェクトを許可してもらうため、たくさんの時間やお金、技術を費やしたと振り返ります。
「スクーンシップでは、住人が電力の消費者であり、生産者でもあります。エネルギーの消費量を肌で感じることは、持続可能な社会実現へのカギだと訴えました。」
規制緩和や資金調達など課題は山ほどありましたが、住みたいという個人や、計画に興味をもった建築家・法律家など様々なメンバーが集まり、数年がかりで計画を実行できました。
浮遊型というのは、オランダの穏やかな運河だから可能だった新たな住まいの形ですが、そこでの暮らし方にこそ「サステナ」のヒントがあると、ポールさんは言います。
「現代では、たった20㎝の壁を隔てて暮らす隣人とすら会話がないこともありますが、スクーンシップでは各家庭が協力して子育てをするなど、強い絆で結ばれています。」
「お互いにインスピレーションを与え合うような暮らし方ができれば、より一体感が生まれ、みんながコミュニティを大切にし始めます。そうすれば、持続可能で自立したまちづくりは様々な形で実現できると思います。」
(文:軽部 明香里)
一見何の変哲もない現代的な家に見えますが、その基礎部分に目をやると…なんと建っているのは運河の上!ここにはおよそ60世帯が暮らしています。
家の中は一般的な住宅と変わらない空間ですが、バルコニーに出てみると水面が近い!船着き場のようなスペースもあり、夏にはここから運河に飛び込み、水遊びもします。
そして気になるのが家の建て方ですよね。実は、運河の上で建築作業をするわけではなく、まず陸で家を完成させ、それを船で運んできて桟橋に固定していくんです!
うーん面白い!
これらは『SCHOON SCHIP(スクーンシップ)』という企画で建設された家。「クリーンな船」という意味の浮遊型住宅で、実際にとてもクリーンな都市開発の方法ということですが…?
その秘密は水面の下、 まさに水中にある地下室に隠されていました。たくさんの管や機器が並ぶテクニカルルームです。
スクーンシップでは、どの家も太陽光発電やヒートポンプ(大気中の熱を集めてエネルギーとして利用する技術)を導入しており、蓄えた電力はコミュニティ全体で分け合って使っているんです。そのため電力自給率はなんと100%!
例えば家の中の温度調節も、運河の水を利用して暖めたり冷やしたりと、言うなればサステナブルなエアコン。5~6年で設備投資分の費用が回収できるため、それ以降の電気代は実質タダになります。
環境に優しくまさに理想的な暮らし方ですが、プロジェクトがスタートしたのは10年ほど前。その頃は運河に家を建てるなど前例がなく、法律でも認められていませんでした。
企画メンバーのマタイン・ポールさんは、プロジェクトを許可してもらうため、たくさんの時間やお金、技術を費やしたと振り返ります。
「スクーンシップでは、住人が電力の消費者であり、生産者でもあります。エネルギーの消費量を肌で感じることは、持続可能な社会実現へのカギだと訴えました。」
規制緩和や資金調達など課題は山ほどありましたが、住みたいという個人や、計画に興味をもった建築家・法律家など様々なメンバーが集まり、数年がかりで計画を実行できました。
「現代では、たった20㎝の壁を隔てて暮らす隣人とすら会話がないこともありますが、スクーンシップでは各家庭が協力して子育てをするなど、強い絆で結ばれています。」
「お互いにインスピレーションを与え合うような暮らし方ができれば、より一体感が生まれ、みんながコミュニティを大切にし始めます。そうすれば、持続可能で自立したまちづくりは様々な形で実現できると思います。」
(文:軽部 明香里)
この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう