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1日の利用者15人の駅を改修 費用は1億1200万円  高齢化率47%超の村が抱える切実な事情 日田彦山線BRTひこぼしライン

福岡県東峰村は日田彦山線BRTひこぼしラインの3つの駅を改修するため新年度予算案に約2億4000万円を計上しました。改修の対象になっているのは、1日の平均利用者がいずれも15人~30人の駅。福岡県内で最も高齢化率の高い村ならではの切実な事情があります。
 

日田彦山線BRTひこぼしライン

去年8月に開業した日田彦山線BRT「ひこぼしライン」 1日の平均利用者数は約210人で鉄道時代の131人よりは増えています。(2月1日~18日調査)
 


JR九州古宮洋二社長
「ルートを柔軟にしたことによって高校生が通学しやすくなったとか、病院や公民館の前にバス停を作ることによって、地元の方々も利用しやすくなったという声も聞いていますので成功したのではないかなと思っています。

豪雨で被災し 鉄道からバスに

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JR日田彦山線は、2017年の九州北部豪雨で大きな被害を受け添田・日田間は鉄道ではなくBRTというバス輸送で復活しました。

3駅を計約2億4000万円かけて改修へ

東峰村は利用客の増加を目指して、村内の3つの駅を改修するため新年度予算案に約2億4000万円を計上しました。

RKB三浦良介記者
「宝珠山駅の駅舎には子供たちが楽しめるキッズスペースを設ける計画です」
 


東峰村宝珠山駅の改修を手がけるのはJR九州の観光列車などをデザインした水戸岡鋭治さんです。駅舎には地場産の木材をふんだんに使ったキッズスペースと東峰村の食材が味わえるカフェ&レストラン。もともとホームだった場所には小石原焼など村の情報を発信するミュージアムが整備されます。
 


東峰村ふるさと推進課 和田勲課長補佐
「東峰村には子供たちが遊べるスペースがまずあまりありません。村民や今後入ってくる移住者のためにも、観光振興そして駅舎整備を行っていきたいと思っています」

整備費は約1億1200万円でBRTの開業から1年となる今年8月末のオープンを目指しています。

湧き水いかしヤマメの養殖場を

筑前岩屋駅には、新たな観光拠点化を目指す、基本設計の費用として398万円を計上しました。平成の名水百選に選ばれた岩屋湧水をいかし、ペットボトル飲料水の製造施設やヤマメの養殖場、それに特産品の物販スペースも整備する構想です。
 


筑前岩屋駅で特産品を販売する村民
「(JA加工品の)しょうが湯は美味しいですよ。寒い時なんかは体がポカポカしますので。ここでお客さんが降りてもらうといいと思いますよ。期待感は大いにあります」

72段の石段→スロープカーに

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そして、東峰村の中心部にある大行司駅は、村の交通拠点を目指して整備されます。

RKB三浦良介記者
「68、69、70、71、72 大行司駅でBRTに乗るためには72段ある石段を登ってこないといけません。とてもきついです」

高齢者など誰でも便利で使いやすいようにスロープカーを整備し、車椅子やベビーカーでの利用も可能にします。

記者   「杖を貸し出しているのですね」
村の住民 「お年寄りは大変だと思いますけど、乗る方は少ない。高齢化社会だから。『「なんとかせんか」という声は当然出るでしょうからね。ただ乗る人は少ないですよ』

スロープカーのほか、トイレや駐車場も整備する予算として、約1億2260万円を計上していますが、大行司駅の利用者は1日あたり15人程度しかいません。

「村の駅で降りて」観光客を増やしたい

東峰村 真田秀樹村長 
「鉄道時代の3倍くらいの方が乗っていただいている。ただ、乗っていただいている方が村で降りているかと言うと、なかなかつながりが悪かったので。駅自体の魅力を高めることで『東峰村で降りよう』『東峰村で時間を過ごそう』という方を一人でも多く、たくさん来ていただけるように仕掛けを作っていく」
 


東峰村は高齢化と人口減少が年々進み、高齢化率は福岡県内の60市町村で最も高い47.37%です。1日の利用者が15人~30人程度の3つの駅に2億4000万円もの費用をかける背景には、観光客を増やして、産業の振興を図り、移住してくる人を少しでも増やしたいという、東峰村の切実な事情があります。

観光資源は、実は豊富

東峰村には、歴史ある神社や日本の棚田百選にも選ばれた棚田など観光資源に恵まれていますが、駅からのアクセスが悪いため、その魅力を十分に生かすことができていません。

そのため、東峰村はBRTの開業に合わせ、駅から観光地まで輸送する「乗り合いタクシー」の運行を始めました。3月末までは無料、4月からは大人300円、子供150円で村内の移動に限り利用できます。果たして村の思惑通りに、ことは進むのでしょうか。

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この記事を書いたひと

三浦良介

1999年入社、テレビ営業部、大阪支社勤務を経て2011年から情報番組のディレクターを務める。2016年から報道記者として政治・経済を中心に取材奮闘中。