オランダに、Arne Hendriksという長年の友人がいる。彼はアーティストで、オランダのクリエーターたちからも彼はちょっと他と違うと言われる、つまり一目置かれている人物。 詳しくは彼のHPに譲る。 https://arnehendriks.net
2年前の、2021年秋頃。Arneから連絡。一緒にできそうなことがやっとできたから話そうと言われ、zoomを繋いだ。開口一番、質問されたのがこれ。
「なんで、東インド会社は、日本からオランダに、味噌を持って帰らなかったと思う?」
そんなこと急に言われても、、(ですよね?誰か即答できます?)続けて、「もしも、200年以上前に味噌がオランダに入ってきてたら、オランダの食文化は全然違うものになったのに!」と。そして。
「と言うわけで、今、Dutch Misoを作ってるんだ」
曰く、味噌はすごいと。彼は養豚の飼料に使われるそら豆で味噌を作っているらしく、豚を食べるよりも、豆を味噌にして直接タンパク源を摂った方が、環境負荷が低い。また、1年かけて作るから、「時間」が原材料になっている点もslowでいい。そして、合わせ味噌の文化も知っており、近所の味噌を混ぜるとなると、これは食べ物を超えた、ネットワークである、など。味噌の美点を捲し立てられた。
面白い。オランダ味噌プロジェクト。これは自分も味噌を作ってみないとな、まずは、と思いその旨伝えると、「完成したら、日本xオランダの合わせ味噌にしよう。そのプロセスを、セレモニーにしよう。味噌の結婚式に。」とのこと。なるほど。いいね。
そして、1年後、まず自分の味噌が完成する。混ぜる準備はできた。味噌の結婚式をやるなら、日本でだろう。だとしたら、神社だな。そういえば、熊本に日本唯一の味噌の神社があると聞いたことがあるぞ。そう思いだし、熊本の味噌天神に電話。訳がわからないだろうから、一度打ち合わせに行き、日取りが決まり、Arneも味噌を携えてオランダから来て、、と、これが、2023年7月8日に、日本初、つまり世界初の味噌の結婚式を行ったいきさつ。
プレスリリースもまいたので詳しくはこちら。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000093421.html
しかし、このエピソードに含まれていないことがあって。
味噌完成から、味噌の結婚式までは半年くらい空いていて。まずは自分の味噌を食べないとなと。しかも結構大量にできてしまったわけで。どうしようかな、、と思った時に、出会ったのがこの本。味噌素人にとっての救世主だったというか。



「だしをとらないとお味噌汁はできない、おいしい味噌汁はできないと言われてきました。味噌汁のおいしさの根拠はだし汁ではありません。おいしさはもっと複雑な科学変化と情緒によるものです。(中略)水で具材を煮て味噌を溶く、それだけで十分と心得てください」
つまり、出汁をとらなくても、味噌を溶かすだけでも、良いと。え?そうなの?ならできるかも。続けられるかも。
結果、この本の通りにじゃないけれど、かつおの削り粉と味噌をお湯で溶いて、簡単な乾燥の具材をあれこれ入れて、毎朝飲む、という習慣にたどり着き。そうしているうちに、なんと次の健康診断で、これまで高かった、血糖値やコレステロール値が下がっていた。


さて味噌汁作りに対してのハードルを下げてくれた本書。もちろんビギナーだけに向けられた本ではなく。タイトルの通り「味噌を知れる」一冊。

味噌汁作りの基本も書いてあるけど、改めて面白いなと思ったのは、「自立の味噌汁」「家族の味噌汁」に続く「組み合わせる味噌汁」の章。ハンバーグにトマトの味噌汁を合わせる。サンドイッチに牛乳の入った味噌汁を、ナポリタンにとうもろこしとソーセージの味噌汁を合わせる、など、味噌汁の新しい可能性が示されていたり。
そして、章を追うごとに、人生のこと、地球や自然のことへと話は拡張していき、最後は「ひと椀の中のお味噌汁の世界は、とても小さいですが、そこには無限の変化と可能性があります。それを「有限の無限」と言います。」と無限にまで繋がって。

「どうぞ味噌汁を信じてください」との件には、「はい。信じます。」と素直に心の中で答えた次第。
ちなみにこの本は、出張中のホテルのベッドの上で、夜読み直したが、そういうシーンで開くものではないなと。お腹が空くし、唾も出る。

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