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『とんこつQ&A』の作者は行列のできるラーメン店の店主、ではもちろんない。2019年の芥川賞受賞作家だ。

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とんこつは、昔はストレートなもの以外なかったように思うが、昨今では味噌、醤油、魚介など別のスープを合わせるなど、さまざまな進化を見せている。しかし、まさかそこに「Q&A」を合わせる者までが現れるなどと、誰が想像しただろうか。

その張本人は、行列のできるラーメン店の店主、ではもちろんない。2019年の芥川賞受賞作家だ。

ラーメン屋の前を通った時に鼻をくすぐられるように、昨年の新刊の中で一番、好奇心をくすぐられたタイトル。4篇の収録作品の中の、最初の作品「とんこつQ&A」を冠したこの本の、中身の方はというと。

一口目にまずくるのは意外性。だって、舞台である中華料理店「とんこつ」のメニューに、豚骨ラーメンがないのだから。そして徐々に、ストーリーの組み方が効いてくる。なるほど。そこで、だから、Q&Aなのかと。この構成は読んだことない。そんなにラーメンに絡めずに、感想を簡単に言うと、面白かった。

4篇を通じて、全部人間の心の中を描いたもの。スープの例えで行くと、辛酸甘苦、全部入ってる。初めから若干辛めなものもあれば、スラスラと読みやすい甘いストーリーと思わせつつ隠し味としての苦味が後半にあったり。 そこに、小さな例えの出し方や、描写の細かさといった、今村さんの特有の出汁が全体的に沁み込んでる感じがする。

手に取ったのは、近鉄奈良駅近くの街の本屋さんだった。出張の旅先で、荷物になるのに、つい買ってしまった。それはもちろん、このgoodなタイトルの仕業だった。

ジャケットもいいから、good title 好きなら、文庫本でなく、単行本を本棚に並べておきたい。

ご紹介した本は、good title booksで販売中です。

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