先日4月17日にオープンした新生「ラーメンスタジアム」(キャナルシティ博多・センターウォーク5階)。「ラースタ」25年の歴史の中でも大規模なリニューアル、半年以上の休業期間を経て一新したこともあり、コアなラーメンファンのみならず多方面から熱視線を送られています。本記事では、先だって行われた内覧会での体験レポ、さらにはラースタの時代ごとの進化を見てきた僕なりの視点で、同パークがいかに福岡、九州のラーメン文化の発展に寄与してきたかを紹介したいと思います。
「ラースタ」は2001年、九州では先駆けて誕生したラーメンパークです。普段は食べられない遠方のご当地麺、我らが誇る福岡の麺々が一堂に会し、観光、出張、外国人客、そして地元民も手軽にヌードルツアーが楽しめることがご存知の魅力。一方で、作り手側の目線になってみると、ラースタ出店舗に選ばれることは誉であり、より飛躍を遂げる好機。
今をときめくラーメン職人たちが駆け出しの頃、異なる出店舗のスタッフとしてここで出会い、ラーメン観、夢を語り、切磋琢磨した昔話を聞くことも少なくありません。実は各店舗のバックヤードは回廊でつながっていて、一角の休憩スペースはいい交流の場。まかないでお互いのラーメンを食べ、情報交換しながら職人としての厚みを増し、以降のラーメン道に生かされてきました。しかし、決して馴れ合いになっているわけではありません。そこは売上げをバチバチに競い合い、シビアに店舗の入れ替わりもある“スタジアム”。「ライバルであり友である」。そんなラーメン職人同士のいい関係を築き上げてきた自己研鑽の場という側面もあります。
さてさて、今回お目見えした8店舗。普通なら“九州初出店”からいくのでしょうが、そこは「九州の豚骨ラーメンこそ最強!」を常日頃から叫んでいる僕なので、頼もしい“豚骨ラーメンオールスターズ”から紹介させてください。
ちなみに、5階「ラースタ」に行くには2つのアプローチがありますが、今回のリニューアルのウリのひとつ“没入空間”をより感じるには、4階ゲームセンターからエスカレーターを上っていく方がおすすめです。巨大なラーメンのイラストを施したエントランスからぜひ“丼ぶりにイン!”してください。店内もラーメン丼を模したデザインへと一新。丼がせり出すような迫力ある造りになっているので、以前に比べ共用ホールは若干狭くなっていますが、各店内は席がよりゆったりと配置されたように感じました。
●初代 秀ちゃん/福岡
博多ラーメン界の重鎮的な超人気店。店主の秀ちゃんこと河原秀登さんの本気度は厨房をみても分かります。ラースタにも系列の路面店と同じく重厚な“羽釜”をドスンと据え、あふれんばかりの豚骨をガッツリと店炊き。芳醇な豚骨フレーバーが心地よく鼻腔をくすぐります。
肉厚チャーシューにワンタン、唐揚げまでオン!した具材スペシャルの「秀ちゃんオールスター」(下写真・1,600円)がラースタ店限定メニュー。これまた同店ならではで、切刃30番の超極細麺「宇宙一細い替玉」(250円)を用意しているのもおもしろいと思いました。そうめんに近い啜り心地だけども、しっかりとコシを感じるかつてない“細さ”の中華麺です。
●博多一黒丸/福岡
今やワールドワイドな人気を誇る「博多一幸舎」の総大将・吉村幸助さん(下写真)が25年前に腕を磨いていたのが当時ラースタにあった行列店「博多一黒丸」。惜しまれつつ閉店した伝説的店がラースタリニューアルと共に復活しました。四半世紀前の白濁豚骨を現代流にアレンジした味の監修は吉村さん、そして厨房では「幸ちゃんラーメン」を率いる西村勇弥さんが作ってくれるというファン垂涎の一杯。
おすすめは大判の豚肩ロースチャーシューが丼からはみ出たチャーシューメン(上写真、1,400円+煮卵180円)。スープは豚骨+鶏ガラ、福岡の地醤油のタレを合わせた濃厚「博多豚骨醤油ラーメン」です。写真のもう一品は「ミニラーメン」(700円)。食べ歩きが楽しめるよう、全店舗でミニラーメンを用意しているのも新生ラースタの注目ポイントです。
●麺屋たいそん/福岡
屋号の由来は、店主の松尾亮太さん(下写真)が学生時代から激似と言われ続けてきたあのボクサー(確かにw)。屈強な男が作る、力強くも優しい豚骨ラーメンがファンの心をガッチリと掴み、福岡を代表する人気店へと急成長しました。松尾さんはかつての修業時代、ラースタにあった名店「新風」で働いており、当時誓った「将来自分の店をラースタに出す」という夢を実現。有言実行がかっこいいですよね。僕自身松尾さんを長くみてきましたが、味作りにとにかくストイックで、性格も一本気な職人です。
メニューは「濃厚博多豚骨ラーメン 炙り豚トロ入り」(1,350円)をはじめとする豚骨だけでなく、ラースタ店限定で魚介の旨味も詰めた醤油系「博多豚そば」(900円)も用意。こちらも煮卵や肉盛りトッピングが楽しめます。
●ラーメンろくでなし/福岡
福岡県・福津市発。濃厚豚骨で名を馳せる「ろくでなし」が満を持してフードテーマパークに初参戦。
店主の中村誠さん(上写真右)は、東京の有名店で腕を磨いた後、幼少期から親しんできた“古き良き”豚骨ラーメンに美学を見出し故郷・福津市で「ろくでなし」を開業。熟成スープとフレッシュなスープを巧みにブレンドしながら“こってり”と“あっさり”の豚骨ラーメンを作っています。中村さんは豚骨以外にも、さまざまなラーメンの引き出しを持っている卓抜の職人なので、今後のラースタ店限定、季節メニューなどにも要注目です。
●らーめん二男坊/福岡
“濃厚で、まろやかで、くさくない”がモットーの「らーめん二男坊」は継続出店。丁寧な豚骨の下処理によりくさみやエグミを抑え、旨味だけを凝縮したクリーミーなスープが持ち味。麺は博多らしいしなやかなコシの細ストレート麺を合わせています。あくまで僕の意見ですが、今回並んだ福岡の豚骨勢の中で、最も豚骨フレーバー控えめで食べやすいラーメンかもしれません。女性客、外国人客にも支持されているのも頷けます。
ここからは“九州初出店”を含む、ジャンルとしての非豚骨3店舗を紹介します。
●人類みな麺類系列 麺や チャーシュードリーム/大阪【九州初出店】
大阪の人気店「人類みな麺類」系列の“チャーシューを激推しする”新ライン、その名も「チャーシュードリーム」。スタッフが実際に足を運び、生育環境、品質に惚れ込んだ熊本県天草市の養豚場から豚1頭を丸ごと仕入れ極上のチャーシューに仕上げています。豚肩、バラ、モモなど多彩な部位をコスパよく圧巻のボリュームで楽しめるのも1頭買い店ならでは。
「人類みな麺類系列は鶏ベースが主ですが、ラースタの新店舗は豚ベースであることも特徴です。ボリューミーなチャーシュー、そしてスープにも凝縮した豚の旨味をご堪能ください。ミニラーメンもチャーシューの満足感を存分に楽しんでもらえるよう設計しています」と、ブランドマネージャーの山脇聡一郎さん(上写真)。大阪の本店の人気No.1メニュー「豚夢の余韻」(下写真・950円)など気になるメニューがズラリとそろっています。
●濃熟鶏白湯らーめん 錦/秋田【九州初出店】
秋田発で九州に初上陸した「らーめん錦」。
「特製吟醸醤油らぁめん」や「特製秋田男鹿塩らぁめん」「秋田なまはげ担担麺」など、とにかくメニュー豊富でトッピングも多数。初体験の店なので食券機の前でどれにしようか悩みましたが、最もそそられた「伊勢海老薫 秋田濃厚鶏白湯味噌らぁめん」(上写真・1,480円)をオーダーしました。ブレンダーで再乳化させたクリーミー鶏白湯がベース。メニュー名にある“伊勢海老”がどんな塩梅で香るのかが一番気になるところでしたが、濃厚まろやかスープの中で海老感がしっかりと主張。聞けば、カエシと合わせて伊勢海老オイルを合わせているそうです。そして、チャーシューも程よく香ばしくてうまいですね。今回食べた中では、最も新鮮さを感じるラーメンでした。
●札幌みその/札幌
最後は、継続出店の「札幌みその」です。同店は僕自身これまで何度も食べたことがあり、内覧会のこの日は未食店を優先したため腹パンになって行き着けなかったのですが、実力者であることは間違いありません。“継続”していることは、これまでも突出した人気を誇っていた証明であり、“札幌味噌”が九州のパークでも絶対に外せないメニューであることも示しています。下記、内覧会の撮影用で供された「みその」の一杯を載せておきます。
ラーメンライター上村による新生ラースタレポいかがでしたでしょうか。
九州初出店がもちろん注目度大ですが、僕ら福岡のラーメンファン馴染みの、あの名店も、ラースタならではのメニューやサービスで迎えてくれます。
ラーメンスタジアムで刺激的な体験を楽しみましょう。
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