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もがく日々が、声を磨く

「えっ!私でいいんですか?」。RKBテレビ「タダイマ!」で共に働く先輩が初めて手掛けるドキュメンタリーのナレーションを依頼された。舞台は大牟田市。「10円焼き鳥」が名物の居酒屋だ。主人公の三代目は、私と同世代で同じ2歳の子を持つ父親。看板を守る重圧と闘いながらも仕事に誇りを持ち、常に笑顔で店の隅々まで目を配る。そのまぶしい姿に、思わずハッとした。

 

自分はイヤイヤ期の娘にてんてこ舞い。家庭と仕事、常にさまざまなことが頭をよぎるため、予定の重複や忘れ物も多く、慌てふためいて周囲に助けを求める始末。私、結構ダサい……。落ち込んだ。しかし放送後、携わっていたスタッフが教えてくれた。「今回、子育てと仕事に向き合う今のあなたに読んでほしいって話になってね」と。


その時、思った。これまで先輩方のナレーションに感じていたまねができない「奥行き」。物語の本質を捉え、全体のバランスを図りながら紡がれる一音一音。それはきっと、技術だけでなく重ねてきた人生経験が可能にしているのだ、と。ならば、このもがく日々も年輪を重ねるように私の厚みになっていくのでは。急に光が差した。

 

ジタバタする日はまだ続く。でも、この日々が誰かの心を打つ響きとなり、誇れる自分の「看板」を作っていくと信じて、歩んでいきたい。


7月4日(土)毎日新聞掲載

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武田 伊央

RKBアナウンサー

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出身地:福岡県福岡市 誕生日:2月14日 趣味・特技 旅行 食べ歩き 現在新しい趣味・特技を模索中です!

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