PageTopButton

素材革命!ベレー帽メーカーの挑戦

元々フランスで農作業時の日よけとして生まれ、現在は世界各国で制服やファッションにも取り入れられている「ベレー帽」。

このベレー帽を半世紀以上前から自社工場で作っている会社が熊本県宇城市にある「フラミンゴ」だ。国産シェアはトップクラスで従業員は27人。布地を着色するカラーリング技術や、日本人の顔に合うように独自で型を製作・デザインした商品は、国内はもとよりアメリカの展示会に出品するなど高い評価を受けている。

これまでは他社ブランドから委託を受けて作る「OEM」が多かったが、コロナ禍で委託が激減。材料費の高騰などもあり吉田照陳社長(53)は新たな取り組みを模索しはじめた。そのひとつが「木の糸」を使った帽子づくりだ。

現状、綿・ウールなど帽子製作に必要な原料は、ほぼ輸入に頼っている。「少しでも地元で原料を調達できる方法はないか」。そう考える吉田が目を付けたのが、地元企業が開発した国内初の「ヒノキ材が配合されている」糸。だが早速試作を始めると、木材を原料にした糸は従来のものより繊維が硬いなどクリアすべき課題が多々見えてきた…。

次世代を見すえた商品を作ろうと試行錯誤する吉田社長らの挑戦を追う。
取材先:フラミンゴ
担当者:社長 吉田照陳(よしだあきのぶ)さん
住所:〒869-0524 熊本県宇城市松橋町豊福2085
TEL:0964-32-0219
HP:https://flamingo-beret.com/

編集後記

「帽子を作る際に余りの生地が出る、それがもったいない」と言ってハンドメイド作家に生地を譲っていたことを取材したのがきっかけで知った「フラミンゴ」。

社長の吉田さんはウールのベレー帽を作る時に出る「羊毛」を「もったいないから趣味でフェルト刺しゅうをする」と集めていた。そして取引先の方が「吉田社長にいただいた」と見せてくれたのは、ラグビーのワールドカップの参加国の名をフェルト刺しゅうした素敵なベレー帽だった。

今後は余り生地や糸を使って雑貨などを作るワークショップを計画しているという。社長の行いの背景にはいつも「優しさ、そして未来への思い」が見えている。

工場の横の空き地には「桐の木」が植えられている。
成長したら木陰になるから、「従業員の方たちが休憩できるような空間を作りたい」ということだ。更にはその木が成長したら木の糸にして「自社の素材を使って帽子を作りたい」と意気込まれていた。成長には少なくとも10年かかるということだが・・・10年後が楽しみだ。

(RKK熊本放送 / 内藤郁美)

この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう