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岳都=学都=楽都=松本

暮らし

映画のタイトルそのままに「岳」の都、松本市。街の東側に王ヶ頭や王ヶ鼻を含む標高2000mの美ヶ原高原。西側に常念岳や槍ヶ岳、穂高連峰など3000m級の山々が連なる北アルプスがあり、市内のいたるところから美しい山姿を見ることができるのです。
「学都」、学びの都としての表情も多彩ですが、今回ピックアップするのは「旧制松本高等学校」。2万坪の敷地に、大正10~11年に建てられた木造西洋建築の校舎と講堂が残っている国指定の重要文化財です。当時の敷地に当時の校舎・講堂があるのは日本でココだけだそう。ヒマラヤ杉に囲まれた旧制松高は、戦後信州大学文理学部になり、現在は松本市民の生涯学習の場「あがたの森文化会館」として活用されています。旧制松高のOBには、映画監督の故・熊井啓さん、作家で医師の北杜夫さんなどがいます。当時の雰囲気がそのまま残った建物は美しく懐かしい感じ。昭和の初めに建てられた私の母校を思い出したりしちゃいました。

館長の藤波由紀夫さんにいろいろ教えていただきました。明治時代に建てられたレンガや石造りの建物は重要文化財になって多く残されています。学校建築でも同様で、明治型の建物は結構残っていますが、その姿は国の威信を内外に示すねらいがあって、建物の全容を見るには建物そのものから離れなくてはなりません。国会議事堂をイメージするとわかりやすいのですが、離れて正面から見て威圧感を感じたり威容を感じさせるタイプですね。大正になると「西洋建築を木造で」という流れになってきます。日本の風土の中で生徒が学んだり人間性を育んだりするには木がいいだろう、と行き着くわけです。なおかつ大正ロマンを反映して、明治のように、いかめしい門で道路と敷地が区切られるのではなく、道路から入ってすぐ建物があり校舎全体が見えるように作られました。これには当時の文部大臣などの「高等教育であっても民衆と乖離した、かけはなれたところにあってはダメだ。むしろ民衆に近いところにあってこそ教育である」という思想を建物で表現したものだと言われているそうです。
旧制松本高校を誘致するために市民が立ち上がり、もともとあった大きな神社を移転させ、国鉄松本駅から一直線に道路を造ってできた学校には、松本の人々の中にある学問への思いがぎっしり詰まっているわけです。

また、旧校舎(あがたの森文化会館)の横には、松高と全国41校の旧制高校の資料が収められた「旧制高校記念館」があります。10代とは思えぬ達筆かつ思想的な落書きがあったり、制服や写真なども管理されています。寮歌のCDやてぬぐい、ほかにも旧制高校みやげがいろいろあり、おもしろかったですね。
※ あがたの森文化会館
http://www.city.matsumoto.nagano.jp/tiiki/sisetu/kyoiku/agatanomorikaikan/index.html

そして「楽都」。毎年夏には、小澤征爾さんが総監督を務める「サイトウ・キネン・フェスティバル」が行われています。その際のオペラの会場になるのが、まつもと・市民芸術館です。病気療養中の小澤さんですが、今年のサイトウキネンで復帰なさるはず。詳しいプログラムは近日中に出てくるでしょうから、楽しみに待ちましょう。さて、この市民芸術館については、広報の今井浩一さんに教えていただきました。この建物は建築家・伊藤豊雄さん設計で、特徴あるデザインでもあることから国の内外から見学のお客さんも多いのだそう。ホールでのコンサートなどがない場合でもチケットのもぎりカウンターまでは自由に入れますので、建築そのものを堪能するのも楽しいところです。細い柱で作られていたり、壁際に大小さまざまな穴=飾りが配されていたり、緩やかなカーブを取り入れた階段や壁面など、普通の建物とは違うんですねえ。また、屋上のトップガーデンは芝生広場になっていて、自由に過ごすことが出来ます。松本は高い建物が少ないので、全方向的に眺められるのんびりポイントです。22時の閉館時間まで楽しめるし、夜は外壁が幻想的に光るデザインになってますので、これも要チェックです。
映画「岳」を見てから松本へ行くか、行ってから見るか…。GWの松本もいいですよ~。空気がきらきらですよ~。骨と骨の間にまで澄んだ空気と美味しい水を染みこませてきませんか?福岡-信州まつもと空港間は、FDAの直行便が90分で毎日結んでます!
※ まつもと市民・芸術館 → http://www.mpac.jp/
※ FDA →  http://www.fujidreamairlines.com/

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