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里山発!進撃のインテリアブランド

筑後川の源流があり、町の8割以上は森林という熊本県阿蘇郡南小国町。
のどかな風景広がるこの農村で生み出されるテーブルや椅子などのインテリア商品が今、東京をはじめ国内外の企業や富裕層の注目を集めている。人気のポイントは海外ブランドの商品を思わせるようなクールでスタイリッシュなデザイン。メインに使う材料は250年以上前から地域で守られてきた特産品、「小国杉」だ。

手がけるのは2016年創業の地元企業「フォレック」。社長の穴井俊輔さん(39)は“家具の町”福岡・大川市に出向き家具製造を依頼した当初、「杉はランクが低い素材。柔らかく傷つきやすいため家具には不向き」と言われたと話す。だが、実家の製材所を継ぐため10年前に東京から故郷に戻ってきた穴井さんには「衰退しつつある林業を守るために何かしなければ」という思いがあった。

そこで考えたのが目の前に広がる阿蘇地域の「自然と人のつながり」を世界観にしたブランドの構築、そしてそのコンセプトを家具やWEBサイトのデザインなどの「形」に表現してくれるクリエイター、職人らを「巻き込む」事だった。
「地方でもクリエイティブなものは生み出せる」。地域のため、未来のために頭をフル回転させる穴井さんを追う。
会社名:株式会社Foreque
担当者:穴井俊輔
住所:熊本県阿蘇郡南小国町満願寺30
電話:0967-42-1010
HP:http://fillinglife.co Instagram:@fil_studios
 

取材後記

「阿蘇の自然と人のつながりを形にする」スティーブジョブスのような常に黒い洋服に身を包み、口調は丁寧かつ柔らか。しかし意思は明確かつ熱い。穴井さんの印象です。穴井さんが目指すもう一つの大きなテーマは「サステナブル」。例えば従来は捨てていた小国杉の葉からはアロマオイルを抽出、さわやかな香りは今年オープンしたJR熊本駅横の有名ホテルに採用されています。

また家具づくりで出た端材は木材乾燥機の燃料に、杉の皮は茅葺き屋根の下地に。まさに林業関係者の生活や阿蘇の自然が時代を超えて様々なアイデアを具現化しながら守られ循環していく、持続可能な仕事の構築です。「木を植えてから伐採するまで60~80年。林業のサイクルは長い」。祖父や父の世代が植えた小国杉を「まだ見ぬ世代」までつなげていく。そしてそれら南小国や阿蘇のストーリー・世界観を広く伝えるために外部の意見を積極的に取り入れ、インパクトあるおしゃれな形に仕上げる。「冷静と情熱のプロデュースぶり」はまるで異素材を組みあわせた家具のよう。

最近は全く異業種の会社から「どうやればファッショナブルなブランドの世界観ができるのか教えてほしい」という相談を受け、ご自分の経験や考え方を話す機会も多いそうです。いろいろと「企んでいる」穴井さんが今後どんなプロジェクトを手掛けていくのか、注目です。
そういえばたしか取材中に「杉を食べたけどおいしくなかった」と言われていたような…?

(RKK熊本放送 / 北山 周平)

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