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奇跡の集落“やねだん”海を渡る

“やねだん”(柳谷)という鹿児島弁の愛称で親しまれる鹿屋市柳谷(やなぎだに)集落。以前はさびれる一方の過疎集落だったが、1996年、豊重哲郎さん(現在71歳)を中心に集落民300人の力と心を結集して地域再生に立ち上がった。

『焼酎やねだん』など次々ヒット商品を生み、全世帯にボーナス、いきいきと明るい再生ぶりに“奇跡の集落”と呼ばれるほどになった。

やねだん集落の奇跡はさらに続く。2009年、韓国の著名な企業家キム・ギィファンさん(現在57歳)がやねだんを知り、あきらめない自立の精神に感動。やねだんの再生物語を韓国にも紹介したいと、経営する韓国のホテルに『居酒屋やねだん』を開店したところ、日韓関係がぎくしゃくする中でもじわじわと人気が出て、5号店にまで増えた。
この思いがけない海外展開は、さらに新しいプロジェクトを生み、そして・・・。

取材後記


さびれゆく過疎集落だったのに、“やねだん”の名前のついた店が海外にできるとは・・・しかも、1店舗でさえ驚きなのに5号店までできるとは・・・。やねだん集落民の藤崎隆資さんが「おとぎの国に来た感じ」と言いましたが、関わるすべての人がそう感じています。

韓国に「居酒屋やねだん」をつくったジェイズグループ社長のキム・ギィファンさんがやねだん集落を知った経緯も不思議なご縁でした。やねだん集落の取材を福留正倫カメラマンとともに続け、12年間の再生物語を「やねだん~人口300人、ボーナスが出る集落」というドキュメンタリーにまとめたのですが、2009年3月にその番組をRKBさんが福岡で放送してくださいました。その日、たまたまキムさんは福岡に出張中で、宿泊中のビジネスホテルで偶然みてくださったそうです。伝える仕事の喜びを心から感じました。

取材のたびにいつも感じ入るのは、やねだんリーダーの豊重哲郎さんやキム・ギィファン社長をはじめ、集っている人々が魅力的なことです。「自分たちに与えられた条件の中で、自分たちが気持ちよく生きられる場所を、自分たちでつくる」。その心意気の力強さはありますが、何よりみんなで笑い合えることを大切にしていて、やさしく明るいのです。やねだん集落が地域再生に立ち上がってから18年、たしかに“奇跡の集落”と呼ばれるにふさわしい再生ぶりですが、“奇跡”という表現を使うとしても、実は手の届くところにある奇跡、誰もが持っている可能性を自然体で見せてくれている気がします。だから私も伝えたくなるのだと思います。今回、また伝える機会をいただいたことに感謝しています。
担当 MBC 南日本放送 山縣 由美子

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