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コロナ禍で得たものは|アナウンサーコラム

2月27日。福岡市東区の海の中道海浜公園で「クロスカントリー日本選手権」が行われた。私は20歳未満のレース実況を担当。多くの高校生に電話取材を行った。

コロナ禍の影響で全体練習や合同合宿はできず、目標としていた大会の中止も相次いだ。ほとんどの生徒が「自分を見失いかけた」と話す。当然だ。成果のために厳しい冬の練習を乗り越えてきたにも関わらず、唐突にその機会を奪われてしまったのだから。

また私は10代を対象としたラジオ番組を担当しているが、そこで寄せられるメールにも同じような喪失感があふれるものが多かった。

しかし同時に、そこで歩みを止めない人の多さに驚かされた。「例年通り」にはならない、ではどうしようか。高校生たちはアイデアを出し続けた。モチベーションが下がらぬようグループチャットで声を掛け合う。オンラインでの文化祭開催にこぎつけるために映像作品を作る。生徒から教師への働きかけも増えていった。

大きな見えない敵と戦った1年。高校生たちにとって失われたものは計り知れないほど大きいかもしれない。しかし、今後の人生における強大な武器を手に入れたのではないか。私にはそう思えてならない。

3月20日(土)毎日新聞掲載



Be colorful. rkb 70th 70年間、放送局をつづけてきて、やっと気づいた。カラー放送をしてるだけじゃ、この世界の色は伝わらない。もっと、豊かな視点で。もっと、やわらかい心で。あなたの、あの人の、あらたしい当たり前を感じる。そんな私たちになりたい。さぁ、カラー放送から、カラフル放送へ。

井口 謙 RKBアナウンサー。山口県下関市出身。

【担当番組】
テレビ:タダイマ! ラジオ:カリメン エキサイトホークス おしゃべり本棚

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