PageTopButton

なくしたい!ジェンダーバイアス~職場編~

3月8日は「国際女性デー」。1975年に国連が制定し、すばらしい役割を担ってきた女性たちの勇気と決断を称える日です。「ジェンダーバイアス」とは、性別による役割の押しつけや偏見の事を指します。 『男社会のイメージをなくしたい!』建設業界を変えるべく改革に取り組む女性建築士をご紹介します。

身近にあるジェンダーバイアス

職場でこんな経験はありませんか?

  • 取引先との打ち合わせの席で「〇〇さんお茶はまだ?」と言われた。お茶出しは女性の仕事なの?
  • 企画会議ではりきって発言したら「女性があんまり前に出すぎると怖がれるよ~」と言われた。「怖がられる」ってどういうこと?
  • 待望の第一子を授かった夫婦。夫が育児休暇をとることを上司に告げると...「仕事に穴あける訳でしょ?戻ってきたときに席があったらいいなあ~(笑)」と言われた。会社の制度を使うだけなのにこんなこと言われないといけないのはなぜ?
  • 結婚が決まったことを報告すると「おめでとう!でも、さみしくなるなあ・・」と言われた。結婚=家に入るって思ってるの?

またこんなリアルな声も...

  • 得意先で「男性営業マンだったら腹割って話せるのに...」と言われること。
  • 会食時"女子はお客さんの隣"と言われること。
  • 「力仕事は男性がやってくれたらいいのに...」と言う人。
 
そこに悪意があるわけではないけれども、無意識のうちの刷り込まれているジェンダーバイアス。職場でこうした性別による仕事の押しつけや偏見を感じた経験がある方もいるのではないでしょうか?

男社会の建設業界に風穴!女性ばかりの工務店

なかなかなくならない、性別による役割の決め付け。その一方で、職場におけるジェンダーバイアスを、業界ごと変えていこうと奮闘している会社もありました。建築業界に占める女性の割合はわずか4%で結婚や出産を期に続けられない人が多いのも現状。

しかし、社員8人のうち7人が女性だという北九州市の工務店、「ゼムケンサービス」は男社会の建設業界に風穴を開けようとしています。その秘密は、ワークシェアリングという「働きやすさ」。2人で担当現場の状況を把握し進めていくことでフォローしあえる体制をとっているということ。「ワークライフバランスは重要な経営戦略」と言い切る代表の籠田淳子さん。工務店の実家で生まれ、自身も20歳の頃から建設業界で働き始めました。33歳の時、父の工務店の子会社であった「ゼムケンサービス」を継ぎ、以来代表を務めています。「自分自身が大切な家族を思っている人でないと、愛のある設計、現場を作ることはできない」という信念のもと、20年前からワークシェアリング制度を導入し、子育てや介護など、社員それぞれにライフイベントと両立しながら仕事ができる環境を作り上げてきました。
職人に憧れて入った建設業界。しかし、初めて就職した会社で「男社会」であることを痛感。女性社員の制服は事務のスカートとブラウスのみ。さらに現場には女性用のトイレがないのは当たり前で、生理の時はできるだけ水分を取らずに我慢。また、大事な会議で意見が通らないと思ったら、実はその前に喫煙室で話が決まっていた、ということもあったそうです。そんな中でも努力を続け、一級建築士の資格試験に一発合格。さらに、ゼムケンサービスを継ぐタイミングには、妊娠・出産、そして両親の介護も抱えながら仕事をしていたと言います。「建築業界で女性が働くのは結婚するまで」という通例を変えるため、必死で両立してきた経験を活かし、女性が働き続けられる工務店を作ったのだと言います。
しかし、女性が少ないという、なかなか変わらない建設業界の現状。それには、一緒に働く男性側の理解と、資格や興味は持っていても家庭との両立の難しさに諦めていた女性たちの活躍が必要です。そうした課題を乗り越えるため、2年前に立ち上げたのが、「けんちくけんせつ女学校」です。籠田さんが校長を務め、建築業界を目指す女性への支援や受け入れ側の会社への研修による意識改革を行っています。

「誰もが好きな仕事で働き続けられて人に喜んでもらえる"人間としての幸せ"」を目指し、みんなと一緒に地域を守れる工務店を作っていきたいと願う籠田さん。籠田さんの実体験から取り組む改革はこれからの建築業界がダイバーシティを進める躍進力になっていくでしょう。

●ゼムケンサービス/北九州市小倉北区
HP:https://kenkenjo.jp/ ●ゼムケンサービス
問:(093)931-0301
HP:https://www.zmken.co.jp/

2021年3月8日放送



タダイマ!  毎週月~金曜 ごご3時40分

この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう