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ゆりかごで育った 海のミルク

大分県中津市で2014年から全国初となる干潟でのカキ養殖が始まった。そのカキの名は「ひがた美人」。もともとアサリの産地として名を馳せていた中津干潟。しかし、温暖化の影響などでアサリの漁獲量が激減した。

そこで、大分県漁業協同組合中津支店の本田(ほんだ)哲也(てつや)さん(60)は干潟で可能なカキの養殖に目を付けた。オーストラリア方式と言われるカキ養殖の手法を導入。仕組みは、稚貝を網の目状の養殖バッグに入れ、干潟に設置すると、潮の満ち引きで適度に揺られて成長する。干潟の干満の差がカキの味にも影響してくるのだ。通常の養殖カキに比べて少し小ぶりなものの、見た目は美しく、ぷりっとした食感と強い甘みが特徴だ。日本で初めて干潟で養殖されたカキは、すぐさま話題となり、今では地元のカキ小屋だけでなく、東京のレストランやアジアを中心に海外でも提供されている。

それでも本田さんらは、多くの人に「ひがた美人」を味わってもらおうと積極的にPR活動を仕掛ける。そこには「ひがた美人」を食べて笑顔になってもらいたいという思いがある。ゆりかごで揺られて育ったカキの魅力と、中津干潟の再生をかけて挑戦を続ける本田さんの姿を追った。
■取材先
会社名:大分県漁業協同組合 中津支店
担当者:柳田いずみさん(支店長)
住所:大分県中津市字小祝寺山525番地10
電話:0979-22-2103
その他:ひがた美人はホームページから購入可能。漁協直営のカキ小屋は3月10日まで。

取材後記

ひがた美人。生ガキか・・・。はじめそう思いました。なぜなら生ガキは苦手で食べずに避けてきたからです。しかし、取材するにあたり、食べないわけにはいきません。レモンを果汁をつけて一口。すると、2つ、3つ、4つと次々と手が伸びていました。本当にひがた美人は甘くて、こんなにおいしいカキをなぜこれまで食べてこなかったんだと自責の念に駆られました。これからは生ガキ(ひがた美人だけ!?)を積極的に食べようと思いました。

生産者をはじめ、大分県漁協中津支店、中津市など様々な人の努力、そして干潟という地理的条件があってこそ、生み出される味なんだと感じました。このひがた美人がアサリに代わって中津干潟の再生を担う起爆剤として、広まっていくのを楽しみにしています。
担当:OBS大分放送 田中智基

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