PageTopButton

黒い常識を覆す「透明醤油」

ビジネス
醤油は黒いのが常識。しかし、熊本の老舗蔵元が開発したのは「透明な醤油」。 創業150年、熊本県内でナンバーワンの生産量を誇るフンドーダイ五葉は、近年の醤油消費量の低下への危機感もあり他に見ない商品を開発しようと考えた。 発案したのは商品開発室の早田文子(34)。

伝統の技術を使い通常の工程で濃口醤油を作った後、独自の技術で分離し透明にする。透明なのでワサビ醤油はワサビの色がきれいに映え、刺身につけても魚の色がそのまま生かせるなど醤油を使っても素材本来の色を活かすことができ料理が色鮮やかに仕上がる。またこぼしても染みが目立たないので子どもを持つ親や保育園などの施設にも注目されている。開発で苦戦したのは「透明の色を保つこと」。

当初は透明化しても味のバランスが崩れたり時間が経つと色がついてしまったりすることが分かり、原料の選定など工夫を重ねた。また洋食界では「醤油は和食に使うもの」というイメージが強く、「黒い色」を敬遠する料理人も多かったが、東京にある有名イタリア料理店でも隠し味に使い始めた。発売から半年、熊本県内をはじめ、全国、世界へと反響が広がり、予想を20倍も上回るヒット商品となっている。
■取材先
会社名:フンドーダイ五葉
担当者:池田勝美さん
住 所:熊本市北区楠野町972
電 話:096-245-0111(代表)
HP:https://www.fdgoyo.jp/ その他:
透明醤油は熊本県内をはじめとするスーパーや土産店などで販売。
公式ホームページから通信販売でも購入できる。
透明醤油【100ml】540円(税込)
透明醤油【275ml】864円(税込)
透明醤油 業務用【1L】1,080円(税込)

取材後記

朝食の卵焼き、昼食の焼き魚、夕食の冷奴や煮物、おでんにも・・・恐らく口にしない日はない醤油の色を黒以外に考えたこともなかった。
開発した主人公の早田文子さん(34)は入社後まもなく、「自社の技術を使えば醤油も透明にすることができるのでないか」とぼんやり思い立ったそうだ。

それまで誰も考えたことがなかったことを、若い柔軟な発想力があったから思いついたのかもしれない。

実際に透明な醤油を使ってみると、「黒」が当たり前で何十年も生きてきたので、ちょっと違和感があった。しかし家では食卓が盛り上がり、県外にお土産に持って行けば珍しいと喜ばれて、コミュニケーションツールにもなった。
今、即位の礼を記念した金箔を入りの透明醤油がある。刺身につけると少しキラキラして幸せな気分で食べることができた。
近い将来、醤油が黒でなくても「普通」になるかもしれない。そんな日が楽しみだ。
担当:RKK熊本放送 内藤 郁美

この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう

radiko 防災ムービー「いつでも、どこでも、安心を手のひらに。」
radiko 防災ムービー「いつでも、どこでも、安心を手のひらに。」