熊本市の「カジオ企画」は、文化面から地域活性化のサポート事業を行う会社だ。取締役で唯一の社員、櫻井真実(48)さんが企画立案や営業など全ての業務を行う。
その櫻井さんが熱を入れている取り組みが、今年6月にスタートした子ども向けのWEBアプリ「花咲くプラネット」の運用。このアプリには、日本地図上に協賛した企業などが取り組むSDGsの活動が17ある目標ごとに分けた“花”で表示される。クリックすると、子どもたちがその活動内容を知り、学ぶことができるという無料のアプリだ。登録者は“花の企業”に「スタンプ」やメッセージを送ったり、利用頻度に応じて「レベル」が上がったりするなど、ゲーム感覚で学ぶ仕掛けが盛り込まれている。
以前ゲーム制作会社で長年クリエイターとして活躍していた櫻井さん。その後、子育てに専念する暮らしの中で「持続可能」「SDGs」という言葉を頻繁に耳にするようになり、子どもたちの未来のために「ゲームみたいな形を使って世界を良くしたい」と強く思うように。そんな彼女に共感し、背中を押したのがママ友たちの存在だった。約1年かけて、県内のプログラマーなどと協力し、WEBアプリを開発したクリエイターママの挑戦を追う。
会社:有限会社 カジオ企画
担当者:櫻井真実
住所:熊本県熊本市中央区横紺屋町14 パレス河原町303
HP :https://kajiokikaku.com/
その他:https://hanasaku-planet.net/
取材後記
「息子には、とにかく好きなことを好きなだけやらせてたな~」と、元ゲームクリエイターでアプリ創設者の櫻井真実さんは、慌ただしかった幼少期の子育てを振り返る。“好きなものをいっぱい見つけられる力は大事”というのが櫻井さんの考えだからだ。
番組では、息子さんの姿は写真のみで登場。現在、県外の大学に通っているということで、残念ながら、間近で母親としての表情は見ることができないかもなと考えていた。そんな矢先、開発中のアプリを中学生の前で、初めて説明する場ができ、取材もできることに。どんな言葉で話すのかな、と興味津々の私・・・。「ゲームではみんな最初、弱いよね…でも仲間を得て、解決に向かってみんなで一致団結。そしたら、世界の危機だって、手を取り合うことで少しずつ変わっていくことを知って欲しかった」櫻井さんはそう話した。さらに話は約30分ほど続いたが、子どもたちは目をそらすことなく、ずっと聞き続けた。後日、中学生のひとりにあの時のことを尋ねると、「(櫻井さんは)すごく個性的だけど、『将来、ヒーローになるんだよ』って初めて言われて私たちにもできそうと思った」と答えた。
“花咲くアプリ”は、始まったばかりの取り組みだ。活動を発信する大人と、WEBアプリを見て学ぶ子どもたちの双方がたくさん増えなくては理想だけで終わってしまう。まずは熊本という限られた範囲から登録が始まったが、SDGsに感度の高い県外の企業からの問い合わせは増えているそう。今後は、九州、日本。そして、世界へ広がり、新たな発想や高い意識でよりよい地球が続くよう、たくさんの人たちで協力していければと強く感じた。
(RKK熊本放送 藤本 聖子)
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