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海WEEK2024 夏休み直前! 福岡の海を調査せよ

有明海の漁師を困らせる海のギャングとは!?

次なる舞台は柳川市の久間田漁港。実は、近年、有明海のアサリの数が激減しているのです。「10年前に比べるなら、10分の1から20分の1ほどに激減している」と話すのは、漁師歴20年の待鳥恭右さん。
 

なぜなら、大きさ1m以上、重さ60~70kgもの“厄介者”がアサリなどの二枚貝を食べ漁っているから。その厄介者とは……!?

水温15℃以上の暖かい海域を遊泳する「ナルトビエイ」です。毒針をもっているため、捕獲後はしっかりと除去します。注目すべきは口内。上下に洗濯板のような硬い歯があり、これで貝殻を噛み砕いて中身を食べてしまうのです。なんと、ナルトビエイは1日に体重の3倍のエサを食べるとも言われているとか。

漁師泣かせのナルトビエイの駆除活動は、福岡・熊本・長崎・佐賀の4県で平成18年から始まりました。その甲斐あって、近年の捕獲個体数は2万匹前後になっています。

しかし、有明海の厄介者はナルトビエイだけではありません。大きな毒針をもつ「アカエイ」も、漁師を悩ませています。
 

また、アカエイは砂地に身を潜ませて獲物を襲うため、海水浴客が誤って踏みつけてしまい刺される事故が多発。刺されると激痛を伴い、めまいや発熱、痙攣などを引き起こすため、もしも刺された場合にはすぐに病院に行くことが重要です。


アカエイの歯はナルトビエイとは異なり、獲物に突き立てるタイプ。貝だけではなく海底にいる魚や甲殻類など、さまざまな漁業資源を食い荒らす、ナルトビエイよりもたちの悪い厄介者なのです。しかし、アカエイは駆除の対象ではなく需要もないため、漁師も積極的には捕獲しないのが実情です。

アカエイで一発逆転を狙う寿司店

そんな厄介者のアカエイをおいしく提供している寿司店があります。柳川市で45年続く「味処源六」です。アカエイは死んでしまうと独特の臭みが出るため、鮮度が命。店主の野口倫史さんは、慣れた手つきでアカエイをさばいていきます。

まずは塩で洗い、ぬめりをしっかりと除去。さらに、湯通しなどで丁寧に下処理を施します。

実は、アカエイは柳川ではかつて馴染みのある食材でした。ところが、時代の流れとともに食べる人が減ってしまったのです。そこで、野口さんは「湯引き」「煮付け」「唐揚げ」という伝統的な3つの調理法で、アカエイを提供することに。なかでも「湯引き」は、朝とれたら昼までしか食べられない鮮度が命の貴重な一品です。

しかし、これらの料理は鮮度の良いアカエイが入荷したときにしか食べられません。そこで、いつでもアカエイを食べられるような新商品を、3年かけて開発した野口さん。それが、アカエイのアヒージョ「レイガンチョ」です。エイの英語名「レイ」と柳川弁でエイを表す「エイガンチョ」をかけあわせています。

ラインナップは、にんにく多め、とうがらし多め、ノーマルの3種類(各1,320円)。どれも、中にはアカエイの大きな身がたっぷり入っています。


こんがり焼けたバゲットと一緒に食べるとおつまみにぴったりです。野口さん渾身の「レイガンチョ」は、店頭のほか柳川市観光協会で販売。ぜひご賞味あれ。

幻のアカウニを求めて藍島へ

高級食材として知られる「ムラサキウニ」「バフンウニ」「アカウニ」。なかでも、希少価値が高く“幻”とも称される北九州のアカウニは、ミシュラン二つ星の「江戸前鮨 二鶴」(北九州市小倉北区)の船橋節男さんも絶賛する食材です。

そんな幻のアカウニが捕れるのは、北九州市・小倉北区の藍島。対馬暖流や関門海峡など、変化に富んだ潮が流れ込むことで、塩分濃度が低く栄養分が豊富な日本有数の好漁場と呼ばれています。ここで、8月1日から2カ月間、午前9時~正午までのみアカウニ漁が解禁されます。今回は今年の出来を調査する事前の漁に密着しました。

「藍島のアカウニ漁は、素潜りと潜水器具を使った2パターンがあります」と話すのは、漁師の二見喜太郎さん。素潜り漁は水深10mまで、潜水器漁は水深18mまでと、水圧が強くかかる過酷な環境で作業を行います。二見さんは1時間の潜水を1日3回繰り返すそうです。

アカウニは、コンブやカジメなどが豊富に育つ場所に生息。サザエやアワビ漁と並行してアカウニを探していくと……。

ついに「日本最高峰」とも称される藍島のアカウニを発見! 磯焼けの原因でもある「黒ウニ」が海藻を食べてしまうため、今年のアカウニは減少傾向にあるようですが、気になる実入りはまずまずといったところで、甘みが濃厚でとろける味わい。ピークの9月すぎの出来に期待大です!



さまざまなドラマが生まれている福岡の海。背景を知ると、ますます愛着が湧きそうですね。

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