連日の猛暑、寝苦しい夜、そしてノロノロ台風。今年の8月は、いつになくエネルギーの放出量が多く夏バテ気味だったのか、1カ月がやたらと長く感じられた。
「暑さ寒さも彼岸まで」とは言うが、それにしてもまだまだ暑い。
彼岸と言えば、お墓参りへ向かう途中に車窓から見る彼岸花。この時季を待っていたかのごとく、田畑の緑の縁をなぞるように、鮮やかに咲き誇る朱色の規則正しい列。
中には白いものもあるが、いずれも突如として姿を現すのには毎年驚かされ「そう言えばそんな季節だ」と気づかされる。早咲きの種類もあるそうだが、この時季の風景には欠かせないものだ。
一方で、夏場からあちこちに群生しているのがセイタカアワダチソウ。緑の中に、こちらはやや渋めの黄色で、この時季は彼岸花の朱色とのコントラストが見事だ。
あと10日もすれば月も改まる。そして下旬には日本一をかけた決戦が始まるプロ野球。今年のパ・リーグは春から黄色がまぶしいくらいに輝いた。今、大自然の中で共演中の黄色と朱色は、日本シリーズで対戦するチームのカラーと今年はリンクしているのかいないのか? そんなことまで想像させてくれるから不思議なものだ。
9月21日(土)毎日新聞掲載
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