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コロナ禍でも絶好調!福岡発のパソコン専門店「アプライド」の成長のカギ


「アプライド」をご存じだろうか?福岡を拠点に全国26店舗を展開するパソコン専門店で、昭和52年創業の地元企業だ。コロナ禍もなんのその、2022年3月期の売り上げは過去最高の439億円!なぜ売り上げを伸ばし続けているのか?そこには常識にとらわれない成長のカギがあった。アプライドの絶好調の秘密に迫る!

アプライド成長のカギ①「新しい客層の開拓」

「アプライド」といえば、パソコン専門店として福岡をはじめ全国26店舗を展開する会社。そのアプライドが、コロナ禍の影響を受けることもなく、過去最高の売り上げを上げている。その額439億円! 一体何が起こっているのか??

スタッフが店舗に向かうと、格安の中古パソコンが棚を占める。他の売り場スペースに目を向けると…「アプライドビジネスソリューション」の看板が目に入る。ここでは、企業の要望や課題をトータルサポートするゾーン。個人向けのPCでは要領不足であったり、機能が足りないなどの企業の要望を把握し、専用のPCを準備・レンタルするなどのサービスを行っている。その結果、現在では、企業向けの売り上げが個人向けの売り上げを上回っている。さらに、販路は広がり、全国の国立大学にHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)を収めており、売り上げをけん引している。研究室が求めるハイスペックなオーダーだったり、細かい要望に1つずつ対応する。そうやって新たな市場を開拓していったのだ。

アプライドの社員平均年齢は、33歳。社員の定着率も高く、就職先としての人気も上がっているという。一体なぜ? それは、ユニークな人事制度がカギを握る。アプライドは、グループ会社に雑貨店「ハウズ」「シティ情報ふくおか」を持ち、社員が自由に職場を希望することができる「社内FA制度」というものがある。アプライド社に入社しても、職場を選択できるチャンスがあるというのが、就職希望者を増やしている要因となっている。また、社員が販売コンテストで優勝した場合「1日社長」を体験できるという「プレリンピック」という制度もあり、社員のモチベーションを上げている。

岡会長は、社是に「商いごっこ」という言葉を掲げ、仕事を楽しくやってほしいと若い社員への働きやすい環境づくりに気を配る。
 
アプライドは、新たな顧客の創出で社業を拡大し、「商いごっこ」の精神で社員を育てることで今後も福岡から全国に活躍の場を広げていく。
店舗を覗いてみると、驚くのは中古パソコンの価格。かなり格安だ。自社の工場で整備して販売しているため、中古でも新品に近い状態で安く買うことができるという。パソコンの様々な相談にも丁寧に対応しており、お客さんに評価されている。

自社ブランドも展開し、魅力的な商品やサービスを提供しているが、絶好調の最大の理由は「アプライド ビジネスソリューション」というもの。企業の様々な要望・課題をトータルにサポートし、業務の改善や生産性の向上に一役買っているのだ。10年ほど前から企業向けの展開を始め、商品の販売やレンタルで売り上げを伸ばした結果、3年ほど前に個人向けの売り上げを逆転。新しい客層の開拓に成功した。

企業向けのコンピューターも多くは自社で生産している。アプライドのパソコンの多くはフルオーダーメイドで、1つひとつ使うパーツが異なり大量生産できないため、手作業で行う必要がある。
大学から研究用に依頼されることも多く、その度に社員は研究内容を勉強し把握して最適な提案をしてきた。その結果、地元の九州大学をはじめ、東京大学や京都大学といった全国の大学に広がり、今ではなんと国内の75パーセント以上の大学を顧客にしている。受注から完成までに数カ月かかることも珍しくないが、個人向けパソコンの消費が落ち込む中、新たなビジネスチャンスとして賭けに出たのだ。

アプライド成長のカギ②「“ごっこ”の精神で躍動」

アプライドには、パソコンの製造・販売だけにとどまらないグループ会社がある。雑貨を主に展開する「ハウズ」、そして福岡ではおなじみの情報誌「シティ情報ふくおか」も実はアプライドグループ。3つの異なる業種で多角化に成功した。

そんなアプライドグループには面白い人事制度「FA制度」がある。課題をクリアし一定の条件を満たした社員は、希望する部署やグループ会社へ移動できるのだ。

ユニークな制度があるアプライドだが、代表はどんな人物なのか?向かった先は…畑?!創業者・岡義治代表取締役会長兼社長曰く、「畑は研修場所の1つ」とのこと。「確かにコンピューターも素晴らしいが、この自然の雰囲気。人間では作れないかもしれない。このようにもっとすごいものが世界にはある」。自然を通じて“ものづくりとは何か”を考えている会長。
そんな会長が経営者として大事にしていることがある。「社是が“商いごっこ”。“ごっこ”の精神で何でもやっていこうと。“ごっこ”の精神だと楽しい。楽しいことだったら長くやれる」。
それを象徴する超ユニークな制度があるという。それが「プレリンピック制度」。新入社員が1か月間の売り上げを競うコンテストで、最優秀者は1日社長を体験できるというものだ。
「FA制度もプレリンピック制度も全て、楽しさを中に入れ込んでいく。楽しく仕事に取り組む。であれば長続きできるのではないか」と会長。かつては社員の定着率が低い時期もあったが、研修や教育に力を入れ新人採用も積極的に行った結果、定着率が改善。社員の平均年齢は33歳と、若い力が活躍している。

“商いごっこ”の精神を胸に躍動するアプライド。社員1人ひとりが生き生きと働いていることこそが絶好調の要因なのかもしれない。

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