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那月のいのち

2023年第1回
制作:OBS大分放送
ディレクター:井口 尚子

医療技術の進歩により救命率が上がり、日常的にたんの吸引や人工呼吸器などを必要とする「医療的ケア児」は増加傾向にある。

大分市に住む安藤那月さん(14)もその一人だ。那月さんは3歳のとき、おたふく風邪がきっかけで脳炎となり脳死状態に。医師からは「この状態で1年後に生きているのは10人に1人もいない」と宣告された。

両親は「最期は自宅で」と考え在宅ケアを決断した。まだ3歳の娘にとっては家族と一緒に暮らすのが自然な形と考え、娘の生きる力に期待した部分もあった。看護師だった母の歩さんは仕事を辞め、娘のケアに専念する日々が始まった。

決断から10年。何度も命の危機を乗り越えながら、那月さんは家族に囲まれて生きている。反応はほとんどないが、体重は倍に増え、目が開いたり体が動いたりすることもある。周囲に支えられ歩さんは那月さんを学校に連れていくようにもなった。クラスメイトと同じ時間を共有することが那月さんにとって刺激になると考えている。

歩さんは寝る間なく看護する日々が続いている。そんな日々を乗り越えられるのは、娘の生きる力を感じるからだ。那月さんと家族の10年から命の重さが見えてくる。

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