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南の島に涼風が吹く~沖縄生まれの花ブロック~

台風の多い沖縄にはコンクリート住宅が目立つ。けれど一見、無機質な建物の中に目を引く模様が入ったブロックがある。これが沖縄独自の“花ブロック”だ。

この花ブロック、ただのポイント使いではない。デザイン性や優れた機能も備え持つ!戦後、沖縄ではコンクリートの建築物が米軍の工兵隊によって基地内施設に導入された。材料が調達しやすい上に台風にも強かったため、沖縄の民間でも本土に先駆けてコンクリートの建築物が急速に広まった。そんな中、穴の開いたコンクリートブロック“花ブロック”が誕生する。使い方は住宅の壁や手すり・窓枠に使用。現在、ほとんどの花ブロックを生産している創業57年の山内コンクリートブロックには100種類の花ブロックがある。最近では多様な柄をいかして建物のデザインとしても取り入れるところも増えた。

しかし花ブロックの人気はデザインだけでなく優れた機能性にある。亜熱帯気候の沖縄、花ブロックを適度の日よけと目隠し代わりに使い、防犯にもなる。そして何より安全を確保しながら心地よい風を通すことができるのが花ブロックの強みだ。発想次第で様々な表情を見せる花ブロックは県外からの注文も増え始めた。
<取材先データ>
◆合資会社 山内コンクリートブロック(安里 享社長)
〒903-0103 沖縄県西原町字小那覇1184-1
TEL:098-945-1542
FAX:098-945-1585
HP:http://www.yamauchi-cb.jp/◆有限会社 義空間設計工房(建築家 伊良波 朝義さん)
〒902-0072 沖縄県那覇市真地169-1Casa Villa 真地
TEL:098-888-5303
FAX:098-888-5304
HP:http://www.gikuukan.com/

取材後記

沖縄で暮らして約10年。これまでシーサーを見て回る事はありましたが、花ブロックの文化がこんなに根付いていたとは取材するまで 気付きませんでした。しかし、ある、ある!自宅の周辺も、使用量はともかく、何かしら花ブロックを利用していました。

それが単なるデザインだけでなく、台風時には飛来物から守ってくれたり、ギラギラの夏の日差しを遮り、かといって適度に採光もあるので暗くない。風通しもよく、洗濯物を隠しながら干す事も出来るという、沖縄の気候風土や生活の知恵が活かされている点に、改めて感心しました。

紹介した聖クララ教会はDOCOMOMO100選に選ばれて以来、全国から見物客がやって来るそうです。56年建っても古さを感じない建物で、中に入ると光と風の教会と言われるだけあり、明るく風通しのよさに驚かされました。

最近は外出する度に花ブロックチェックが日課になっています。これがいろいろな取り入れ方をしていて面白い。沖縄の花ブロック見物ツアー、新たな街歩き企画になるかも!と思った次第です。
海を超えて広がりつつある沖縄発祥の花ブロック、今後どの様に活用されていくか注目です。

ディレクター RBC 琉球放送  萬 京子

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