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空き家の救世主

核家族化と都市への人口集中によって、社会問題化している地方の空き家。
九州ではすべての県が全国空き家率の平均を上回っているのが現状だ。しかし、その空き家を再生させ、新たな価値を見いだす男がいる。末次宏成(46)だ。

「事業性がないと空き家を再生しても長続きしない」と言い切る。
末次の本業は、実家の病院経営だが、もうひとつ別の顔がある。病院経営を継ぐまで生業だった建築デザイナーだ。これまでに、親から受け継いだ築31年の空室だらけのマンションを改修。大家になって7年で、ほぼ満室状態が続く賃貸物件に変えた。また、熊本城の近くにある廃墟同然の木造家屋に目を付け、1棟1組の宿に再生した。「この経験は地域再生のモデルに活かせる。」そう確信する末次は、新たに築55年の長屋アパートに着手。地元の大学や空き家問題に関心のある建設業者と連携し、プロジェクトチームを結成した。完成させたのは、借主が住みながら稼げる“民泊アトリエ物件”。入居者が地域の発信力になるという仕組みを作ったという。その仕組みとは?

風変わりな物件を次々と生み出す“空き家の救世主”の挑戦を追った。
■取材先
会社名:末次デザイン研究所
担当者:代表 末次宏成
住所:熊本市西区上高橋2-13-6
電話:096-288-0641
その他:
スミツグハウス(簡易宿所)熊本市中央区京町1-2-10
※宿泊:1棟1泊10,000円~、時間貸しも可能
オビハウス(賃貸住宅)熊本市中央区帯山1-24-25
※賃貸の問合せ:ひごスマイル(株)096-223-7333

取材後記

建築デザイナーでもありながら、本業は実家の病院経営。熊本にUターンするまでは、福岡の大学職員として、まちづくり、介護・リハビリの研究など…と様々な分野の経験を持つ、末次宏成さん。初めて取材させてもらったのは、2016年。熊本城近くの空き家を手掛け始めた頃です。「空き家を宿にしようと思っているんです」とポツリ。宿の取材がひと区切りした頃になると、「次は民泊もできる物件にしようと思ってるんです」とまたポツリ。会う度に、新しいプロジェクトを立ち上げては成果を残しながら取り組む姿に感心するばかりです。

「一体、何軒やるつもりなのですか?」と尋ねた私に、末次さんは「もうライフワークですからね」と答えました。末次さん曰く、空き家の再生には、過程とその後に、多くの人が携わるから、いろんな交流が生まれて刺激になるのでやめられないとのこと。建築デザイナー・大家・宿主目線で空き家再生に取り組む末次さんのもとには、県内外から多くの視察の依頼があります。さて、これから“稼げる賃貸住宅”は、どう変化していくのか?
はたまた、次に手掛ける空き家再生は何なのか…末次さんの“ライフワーク”から目が離せません。
担当:RKK熊本放送 藤本聖子

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