都市の未活用空間を利用して、飲食店やオフィスなどあらゆるところを畑に変える。
「3000種育てた、野菜くん。」のキャッチフレーズをもつ國村隼太さん(29)は去年4月、福岡市で水耕栽培ユニットを開発・販売する会社を起業。目指すのは、都市そのものを農地化し、消費地で野菜を作るという究極の地産地消を実現することだ。自社で開発した「OYASAI FARM」を活用し、街なかの空きスペースに小さなスマート農園を展開しようとしている。
気候変動や高齢化による担い手不足など、農業が抱える課題の解決策として植物工場は年々増加している。一方で、それらは莫大な初期投資が壁となっていた。國村さんは小さくとも収益化可能な新しいビジネスモデルを提案。福岡県のスタートアップアワードでも革新性と将来性が評価され県知事賞などを受賞した。
「OYASAI FARM」で栽培するのは主にレタスなどの葉物野菜。農業初心者でも栽培できるという。國村さんは水耕栽培ユニットを販売するだけでなく、栽培支援から販売先の開拓まで伴走し、後押ししている。
常識を覆す発想で都市部から農業に新たな風を吹き込む。野菜をとことん愛する若き起業家の挑戦を追った。
<取材先データ>
OYASAI株式会社
福岡市中央区大名2-6-11 Fukuoka Growth Next 3F
https://oyasai-japan.jp/
※問い合わせはHPから
代表取締役 國村隼太さん
取材後記
毎日当たり前のように食べている野菜。猛暑や天候不順による価格高騰は連日ニュースを賑わせます。家計を直撃する身近な問題は、もはや気候変動という地球規模の問題でもあります。加えて、国内では高齢化・担い手不足など様々な課題が山積しています。長年コスト面で苦戦してきた水耕栽培ですが、国も食料安全保障の観点から植物工場を推進するなど、いま新たなフェーズに入っています。
今回取材した國村さんは、自らを「農家であり、農家を作る人」と語ります。
番組で紹介したQ-CAPのように、使われなくなったオフィスの一角ですでに農業を始めている企業もあります。そこで働く彼らは4月に農業デビューしたばかり。自ら試行錯誤したり、國村さんに質問したりする姿は立派な「農家」でした。
私が最も興味深いと感じたのは、OYASAI FARMが単なる水耕栽培ユニットではないことです。飲食店でお客さんが自ら野菜を摘んで食べる特別な体験を提供する装置として、あるいは、オフィスや地域コミュニティのコミュニケーションツールとして…活用法は尽きません。そしてこうしたプロジェクトはまた新たな「農家」を生み出します。
國村さんがめざしているのは、「誰もがいつの間にか農業に関わっている日常」。
気づけばご覧のあなたも、そして私も「農家」になっている日もそう遠くないかもしれません。
(RKB毎日放送/細谷一希)
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