PageTopButton

JAグループ福岡「食・農ラ部」公開講座~篠原信さん 中島理恵

3月9日に行われた、JAグループ福岡「食・農ラ部!公開講座」~考えよう!私たちの食と農のみらい~。

前半は農業研究者・篠原信(しのはらまこと)さんの基調講演でした。Xのフォロワーが12万5千人を超える篠原さん。Xでのつぶやきから派生した部下の育て方本や子育て本も人気のある方ですが、本業は農業研究。今回は著書の「そのとき、日本は何人養える?」の第一章部分からを中心に講演にしてくださいました。

 

もし日本の国土だけで人口を養おうとしたら、どのくらいの人数が養えるのか?

「石油が簡単に手に入る場合、9000万人分養えるが、3500万人は餓死していただく必要がある」

「石油が全く手に入らなかったら、3000万人分養えるが、9000万人は餓死していただく必要がある」

と、超絶衝撃のコメントからスタート!

実際は餓死してほしいわけではなくて、何ができるか考えてほしい、という思いなのだそう。

しかし、石油と農業がそんなに関係するのか?理由は、化学農薬など、トラクターなどを動かすための燃料、そして肥料!といいます。今、農産物が豊かに育っているのは肥料のおかげなのですが、これを作るには石油が不可欠なのですって。窒素に高温・高圧をかけてアンモニアを生成することで無限に肥料を作れるようになっているそうですが、アンモニアを作るだけで世界のエネルギーの1~2%を消費しているとのこと。

じゃあ、肥料は有機=牛糞で…と言うのも、石油がストップしたら行き詰ります。牛のための飼料、輸送などなどが滞るわけです。有機農業のみだった江戸時代で考えると、1700年代に人口が3000万人に達した後、明治時代に入るまで人口は増えなかったのだそうです。やはり3000万人養えるのが限界?

でも、今は技術が発達してるし!と考えるところですが、残念ながら石油を使わないもので江戸時代より優れた技術はひとつもないとのこと。

じゃあ、耕地面積の拡大、二期作・二毛作の推進、ぜいたくな食生活をやめる…なども全部足りない+効果なし。さらに再生可能エネルギー等の現状を知らされて、愕然としました。篠原さん自身、「本を書いていて自分がショックだった」と言うほどの残念な状況なのです。

 

 

とにかく今の日本の人口を養うには、エネルギー/食料/肥料のいずれかを輸入し続ける必要があるのです。「だからこそ、農業に携わってない=非農業の人にできることがある」と、篠原さんはおっしゃいます。非農業者が自分の幸せのためにがんばって稼ぐと、そこから生じる金銭的余裕がちょっとぜいたくな農産物の消費につながり、それが農家さんの生活のうるおいにつながり、「もっといい農産物を作ろう」というゆとりが出てくる…という好循環が出てくると。そうしてお互いに支え合う関係だととらえて、非農業者は「農家の方達を支えるには自分達がしっかり稼いで、エネルギーや食糧、肥料を輸入するんだ」と。そして農業者はそれでトラクター動かして、肥料まいて、そうして作った農産物を非農業者に提供する。それによって海外から無理に食料を買わなくても国内で十分生産できるという形で非農業者のがんばり度も下げていくことができる…という支え合いの構造をこれから作ってほしいという考えを示してくれました。

 

 

篠原さんは後半の大学生とのパネルディスカッションにも参加して、若者への期待やアドバイスも反してくださいました。そして、「若い力を生かすために」私達OLD層は何ができるのかも。それは下のボタンから放送をお聴きください。

 

この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう